1928 – 9.5mm 『スピオーネ』(フリッツ・ラング監督) 独パテックス社4リール版

「フリッツ・ラング関連 [Fritz Lang Related Items]」より

Spione (Early 1930s German Pathex 9.5mm Version)

昨年『メトロポリス』『ファウスト』で世話になったドイツのフィルム収集家ヴォルフ・ヘルマンさんと再度ご縁があり、ラング監督のスパイスリラー『スピオーネ』9.5ミリ版全4巻を入手できました。

英パテスコープ社版は現存数が多く市場で何度か見た覚えがあります。こちらは流通数の少ない独パテックス版。『スピオーネ』は複雑に絡みあうサイドストーリーやサブプロットが特徴なのですが、そういった要素はカットされ、悪漢ハギー(ルドルフ・クライン=ロッゲ)と英国諜報員326号(ヴィリー・フリッチ)、その狭間で揺れる女スパイ・ソニア(ゲルダ・マウルス)三者の駆け引きに重点を置いた展開に編集されています。

リール1:ハギーの指令で326号に近づいたソニアが恋に落ち、お守りを渡すまで
リール2:前半はソニアに騙された326号が自暴自棄になる展開。後半は日本外交官マスモト/マツモトの秘密書類をめぐる駆け引き
リール3:ハギーが急行列車で諜報員326号謀殺を図る件
リール4:ハギーがソニアを人質に諜報局を脅迫〜銀行爆破、逮捕劇

キャスティングの魅力、語りのスリリングさ、強いインパクトを残す構図…ラング世界を9.5ミリフィルムの質感で追体験できるのは至福の時間でした。

1930年代中盤 – 9.5mm 『ニーベルンゲン 第一部:ジークフリード』(1924年) & 『メトロポリス』(1926年)独パテックス版予告編

「フリッツ・ラング関連 [Fritz Lang Related Items]」より

« Nibelungen » & « Metropolis »
c1933 German Pathex 9.5mm trailer


1933〜34年頃、独パテックス社がプロモの為に制作した9.5ミリ版の予告編。

ちょうど昨年の今頃、古い映写機をベースに9.5ミリ専用スキャナーの制作を行っていました。この際、解像度を確認していくサンプルに使用していたのこの予告編でした。コマ数がそこまで多くないため扱いやすかったのと、自分自身のモチベーションを上げるのにちょうど良かったのかなと思います。

綺乃九五式はその後レンズ回りを中心に改良を加えています。どのくらい画質が向上したのか確認してみました。

まずは『ニーベルンゲン 第一部:ジークフリートの死』から。左が2019年10月9日にラズパイカメラのV2を使ってスキャンした画像。右が2020年9月5日にラズパイHQカメラで同一フレームをスキャンした画像です。

昨年スキャンを行った際は、光の散らし方が上手くいっておらず画面右に明るい個所がまだら状に発生、文字が滲んでいました。今回のスキャンではその欠点が修正されています。

またHQカメラに切り替えたことで解像度が向上、細やかな濃淡をシャープに撮影することができるようになっています。主人公の腰の辺りを拡大してみました。

汚れや傷もクリアになっているのが分かります。

ニーベルンゲン予告編の最後のショットと、『メトロポリス』予告編の最初の場面。どちらも縦線が強調された構図です。旧スキャンにはわずかながらレンズの「歪み」があります。いわゆる「球面収差」に関わる話で、右のHQカメラの方が縦横の直線を正確に描写できています。

新スキャンの方では肌のグラデーションが自然に再現されています。

映写機で投影した画像と比べれば旧スキャンでも十分にシャープな映像だとはいえます。ラズパイHQカメラは一段階アップグレードされていて目標に一歩近づいた気がします。後はノイズ除去や修復力勝負ですね


ベレギ・オスカー Beregi Oszkár (Sr.) (1876 – 1965) と『黄金の男』(1919年)&『怪人マブゼ博士』(1933年)

絵葉書と『演劇生活 Színházi Élet』誌から見る
1910年代ハンガリー映画(03)

Beregi Oszkár (Sr.) c1909 Autographed Postcard

1890年代末から本格的に演劇活動を始め、劇場を転々としつつ下積みを重ね、1900年代に人気役者の仲間入り、映画産業の勃興した1910年代に人気のピークを迎えています。

舞台では古典劇、歴史劇を得意としハムレットやリア王、ファウスト等を十八番としていました。

『演劇生活』誌1917年第22号表紙
同号では小特集が組まれ少年時代の写真も掲載されていました

声が魅力の一つでもあったため無声映画との相性を疑問視する声もありましたが、コルヴィン映画社からの主演作で杞憂だと証明してみせました。1917年には4作品で主演、この内一本がコルダ・シャーンドル監督作『カリフの鶴』(Gólyakalifa)です。二年後に再度コルダ監督と組んで製作されたのが『黄金の男』(Az aranyember)でした。

『演劇生活』誌1917年第43号より
『カリフの鶴』スチル

『黄金の男』より
左端に義母役のベルキー・リリ

19世紀後半の同名小説を原作としたもので、オスマントルコからドナウ川を越えてハンガリー領に入ろうとしたトルコ人の父娘と、二人を助けようとしたハンガリー人大尉(ベレギ)の物語を綴っていきます。

1920年代になるとドイツ映画界に進出。マイケル・カーティスの大作歴史劇『イスラエルの月』(Die Sklavenkönigin、1924年)等で活躍、短期間ハリウッドにも渡りますが旧大陸と同じ成功を収めることはできませんでした。

マイケル・カーティス監督作品『イスラエルの月』(1924年)より

映画キャリアの代表作となるもう一作はトーキー到来後の1930年代に公開されています。フリッツ・ラング監督の戦前ドイツ最終作となる『怪人マブゼ博士』(Das Testament des Dr. Mabuse、1933年)です。怪優ルドルフ・クライン=ロッゲを相手に一歩も引かない濃厚な演技にハンガリー戦前演劇を支えてきた名優の意地を見ることができます。

『怪人マブゼ博士』(1933年)でのベレギ(左)とルドルフ・クライン・ロッゲ(右)

[IMDb]
Oscar Beregi Sr.

[IMDb]
Az aranyember

[Hangosfilm]
Az Aranyember

1920年代後半 – 『ニーベルンゲン』 絵葉書16枚(独ロス出版社)

「フリッツ・ラング関連 [Fritz Lang Related Items]」より

late-1920s-nibelungen-postcard00
1920年代の後半、独のロス出版社からフリッツ・ラング監督作『ニーベルンゲン』二部作の絵葉書セットが発売されていました。同社カタログナンバーで言うと:

672(8枚): 第一部『ジークフリート』主要人物紹介
673(6枚): 第一部『ジークフリート』名場面集 その一
675(9枚): 第一部『ジークフリート』名場面集 その二
676(5枚): 第二部『クリームヒルトの復讐』主要人物紹介
677(8枚): 第二部『クリームヒルトの復讐』名場面集
678(4枚): 第一部『ジークフリート』龍との闘い

が一連のシリーズとなっています(ドイツの絵葉書屋さんのHPに全画像あり)。単体で見ると珍しい訳ではなく一枚5~10ユーロ程度(700~1500円位)で取引されているのが常です。ただし枚数が多いためフルコンプ(40枚)が難しく良い状態での全数セットは4万円程度に値段が跳ねあがっています。

今回手に入れたのはこの内673と675からの13枚と672から2枚、678から1枚を合わせた16枚。第一部『ジークフリート』を好きな方が保管されていたセットのようで実使用された1枚を除くと非常に良いコンディションで届きました。

晩年のフリッツ・ラングが送ったクリスマス&新年祝いのカード

「フリッツ・ラング関連 [Fritz Lang Related Items]」より

フリッツ・ラング監督が晩年(1970年頃)に送ったクリスマス&ニューイヤーカード。以前、フランスの女優マドレーヌ・オズレイさんに宛てた電報をご紹介いたしました。出所が同じでおそらくオズレイさんが保管していた一点と思われます。

二つ折りで開いた大きさは22.0×15.5cm。折った時、外側に幻想的なイラストが見えるようになっていて、裏面に5か国語で説明が付されています。開くと内側に「メリークリスマス&新年おめでとう フリッツ・ラング」の印刷メッセージ。

こちらはユニセフのチャリティ用カードで晩年を合衆国で過ごしたラング監督の慈善活動の一端を伺うことができます。イラストデザインは米国の画家キャロリン・ジョブロンスキー(Carolyn Jablonsky, 1939-1992)さんが担当。似たフォントやレイアウトを使用した別画家作品が1970年前後にユニセフのクリスマスカードに使用された記録があり、時期を60年代末から70年代初頭と見ています。

ゲルダ・マウルス Gerda Maurus (1903 – 1968) 墺

「ドイツ/オーストリア [Germany/Austria]」「フリッツ・ラング関連 [Fritz Lang Related Items]」より

Gerda Maurus Autographed Postcard
Gerda Maurus Autographed Postcard
1920年代後半、フリッツ・ラング作品のヒロインに抜擢され『スピオーネ』『月世界の女』の二作で鮮烈な印象を残した女優さん。

Gerda Maurus Autographed Postcard 2

頬骨の高さに挑発的な眼差し、同時代の他の女優と一線を画すシャープな雰囲気を漂わせていました。ラング作品以外の出演作ではフワッとした優しい空気なので落差に驚かされたりもします。トーキー移行後は次第に脇役に回り、戦後に至るまで女優活動を続けていました。

Gerda Maurus in Frau im Mond
『月世界の女』(Frau im Mond、1929年)
Gerda Maurus in Vier junge Detektive
『ちびっこ探偵五人衆』( Vier junge Detektive、1949年)
[IMDb]
Gerda Maurus

[Movie Walker]
ゲルダ・マウルス

[出身地]
オーストリア (ブライテンフルト)

[誕生日]
8月25日

[データ]
・Ross Verlag 3569/2 Fritz Lang-Film
・Ross Verlag 4254/1 UFA 「リシャール・フリペ氏 Richard Frippé」宛の献辞入り

[サイズ]
・8.9 × 13.8 cm
・8.8 × 13.6 cm

ハンナ・ラルフ Hanna Ralph (1888 – 1978) 独

Hanna Ralph Autographed Postcard
Hanna Ralph Autographed Postcard

1910年代前半に舞台デビュー後、10年代後半にスクリーンに初登場。すぐに実力を認められ大手のPAGU社でゲオルグ・ヤコビ監督作品で重用されるようになりました(この時期に共演の重なったエミール・ヤニングスと後に結婚)。

デビューがやや遅かったこともあって娘役の出演機会はほとんどなかったものの、悩める母親役など難しい役柄で重宝され1920年の『阿片(オピウム)』『アルゴール』で対応力を見せつけます。

Hanna Ralph in Helena (1924)
『阿修羅王国(ヘレナ)』でのハンナ・ラルフ

意志の強さと母性を同時に表現できるハンナ・ラルフの個性は歴史ドラマの女王役と相性の良いものでした。1922年の『女王のお気に入り』でエリザベス女王を演じた後、『阿修羅王国(ヘレナ)』でのアンドロマック役を挟み、『ニーベルンゲン』第一部でのブリュンヒルトへと続いていきます。

[IMDb]
Hanna Ralph

[Movie Walker]
ハンナ・ラルフ

[出身地]
ドイツ(バート・キッシンゲン)

[誕生日]
9月25日

[サイズ]
8.8 × 13.6cm

[データ]
Ross Verlag, 2054/2, phot. Ernst Schneider, Berlin

1930年 『東亞週報 第二八六號』

Toa Weekly No. 286
Toa Weekly No. 286 (October 17th, 1930)

昭和五年(1930年)10月半ばの東亞週報でオールスター大作『無憂華』公開時の一冊。表紙は同作からのスチル写真。モデルとなった故・九条武子夫人を称える菊池寛・久米正雄・直木三十五の歌が添えられています。

『無憂華』の粗筋、配役紹介に加えて主演・三原那智子さんの紹介とそのメッセージ「高鳴るわが胸」が掲載されています。本作以外に映画出演記録が見当たらず経歴が不明だったため略歴が助かりました。海外作品ではフリッツ・ラングの『スピオーネ』が紹介されており、裏表紙は歴史冒険譚『八荒流騎隊』の予告。

1930-toa-weekly-no-286-031930-toa-weekly-no-286-04

『スピオーネ』の物語紹介の途中にリバイバル上映会の告知が挟まれています。

『明治二十八年・本場所 東京大相撲』。昨年国立映画アーカイブで上映されていた『明治二十八年の両國大相撲』(1900年)と同一作品。現在のスポーツ化した大相撲とは別物で、見世物と神事の両面が絡みあった独特な圧の作品でした。1930年頃すでに歴史的重要作として認知されていた様子が伺えます。

1917-22 忘れじの独り花(6)マルガ・キールスカ Marga Kierska

「フィア・エーマンス旧蔵サインコレクション」より

Marga Kierska c1920 Autographed Postcard
Marga Kierska c1920 Autographed Postcard

1919年公開の『フィレンツェのペスト(Die Pest in Florenz)』は独デクラ社が海外市場を意識して製作した大作の第一弾でした。監督に連続劇『ホムンクルス』のオットー・リッペルト、脚本にフリッツ・ラングを配しています。

Marga Kierska in Die Pest in Florenz
『フィレンツェのペスト』(Die Pest in Florenz、1919年)より

ルネサンス期を舞台とした歴史パニック劇で実質的な主人公を演じていたのがマルガ・キールスカ(マルガ・フォン・キールスカ)。市中に広まっていく災禍に目を背け、贅沢と享楽に身を滅ぼしていく悪女の位置付けです。

とは言え「私の信じてる神は愛だけなの!」と言い放ち宗教者をたじろがせる場面や、地獄巡りの道中に自分の末路を重ねあわせ怯える場面など単純な善悪に収まらない多層的な性格付けを見ることもできます。セットや衣装に費用をかけるだけが大作ではない訳でリッペルトの演出、ラングの脚本共に一段高いレベルを目指している様子が伝わってきます。

marga-kierska-in-pest-in-florenz
雑誌広告(ノイエ・キノ・ルントシャウ誌1919年10月11日号)より。

ヒロインに抜擢されたマルガ・キールスカもまた来るべき新映画の要請に応えています。この後ポーラ・ネグリやアスタ・ニールセンの脇に回った作品数作でフェイドアウトしてしまったのが惜しく思われます。

[IMDB]
nm0902524

[Movie Walker]
マラガ・フォン・カイエルスカ

[誕生日]
未詳

[出身]
不明

[サイズ]
8.8 × 13.5 cm

[データ]
Photochemie, Berlin. K.3315 phot. Bildnis Karl Schenker, Berlin.

1917-22 忘れじの独り花(5)マルガレーテ・ランネル Margarete Lanner (1896 – 1981)

「フィア・エーマンス旧蔵サインコレクション」より

マルガレーテ・ランネル サイン入り絵葉書
Margarete Lanner 1925 Autographed Postcard

「1925年8月21日、ベルリン」の日付入り。

『メトロポリス』の冒頭、 永遠の園で主人公(グスタフ・フレーリッヒ)が華やかな女性陣と戯れている場面が描写されています。噴水のほとりで女性を抱きしめた際、地下世界からやってきたマリア(ブリギッテ・ヘルム)と子供たちに見つかる展開は良く知られています。

グスタフ・フレーリッヒ&マルガレーテ・ランネル
『メトロポリス』(Metropolis、1927)の永遠の園の場面より
グスタフ・フレーリッヒと並んで

この場面でフレーリッヒの抱擁を受けていたのがマルガレーテ・ランネルでした。1919年に女優デビュー後、ヴェラ映画作品社の中心女優として頭角を現し、ヒロイン〜準ヒロイン級のオファーを受けるようになっていきました。

20年台半ばに難易度の高い役柄にも挑戦し始め、トップ女優とは言えないまでも安定した知名度と人気を獲得していきます。『メトロポリス』では配役のクレジットがない小さな扱いでしたが当時それなりに知られていた女優さんでもありました。

1927年をキャリアの頂点とし無声映画の終焉と共に引退。短期間の復帰はあるものの以後舞台に転じていきます。

[IMDB]
nm0486938

[Movie Walker]
マルガレーテ・ランネル

[誕生日]
2月17日

[出身]
ドイツ(ハンブルグ)

[サイズ]
9.0 × 14.0cm

[データ]
Verlag Herm. Leiser, Berlin Wilm. 6013. photo. Rembrandt.

エルンスト・マトレイ Ernst Matráy (1891 – 1978) ハンガリー

「国別サインリスト ドイツ/オーストリア [Germany/Austria]」より

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Ernst Matray 1920 Autographed Postcard

ハンガリー出身の舞踏家、俳優、監督兼振付師。

1910年代初頭にマックス・ラインハルトに才能を見いだされ舞台デビュー。ラインハルト劇団で話題を呼んだ『奇跡』(マリア・カルミ主演、1911年)に出演し、ダンスパートの振付も担当しました。

Ernst Matray in Hilde Warren und der Tod (1917)
1917年作品『ヒルデ・ワーレンと死神』(ヨーエ・マイ作品、脚本フリッツ・ラング)

映画では牧神、道化師、悪魔など異形の役どころが多く回ってきていたようです。フリッツ・ラングが脚本を書いた『ヒルデ・ワーレンと死神』では放蕩の生活を続け、最後母親に銃で撃ち殺されるろくでなしの息子を演じていました。

俳優時代のルビッチとも共演歴があり、短期間ながらも共同で映画会社を設立、両者の名前からMalu映画社と名付け経営を行っています。同時期に監督業にも進出し1916年に『オペラ座の怪人』を残しました。フィルム自体は現存していないものの、この小説の最初の映像化で初期ホラー愛好家が見たがっている作品の一つです。

トーキーの時代となり、1930年代にハリウッドに渡ってから新たなキャリアが開けてきます。当時の妻だった女優マリア・ソルヴェクと振付師のチームを組み、MGMなど大手作品のダンス場面を担当したのです。

Waterloo Bridge (1940)
『哀愁』(1940年)のバレエ場面

日本でもよく知られた『哀愁』(1940年)や『心の旅路』(1942年)の舞踏場面はマトレイ夫婦が振付したものでした。メロドラマ作品に一瞬現れるダンスやバレエを意識する機会はあまりないため、こんな形で無声映画の血流が続いていくのかと驚かされました。

絵葉書の写真は『吸血鬼ノスフェラトゥ』と重なります。サインの年号(1920年)を見ると同作公開より前になっています。

[IMDB]
nm0559305

[Movie Walker]
Ernst Matray

[誕生日]
5月27日

[出身]
ハンガリー(ブダペスト)

[サイズ]
9.0 × 14.0cm

[データ]
Photochemie, Berlin. K.2289. Phot. Nicola Perscheid, ,Berlin

カローラ・テーレ (Carola Toelle 1892 – 1958) 独

Carola Toelle Autographed Postcard

フリッツ・ラング監督初期作のひとつ『彼女をめぐる四人』(Vier um die Frau、1921年)で主演を務めたのがこちらのカローラ・テーレです。

第一次大戦終戦前後にドイツで数多デビューしてきた女優の一人で、当時はヘラ・モヤと並んで知名度が高かったようです。デビュー間もない時期の主演作『Das Lied der Colombine』でのリュートを手に歌う場面が印象的で、今回入手したサイン絵葉書はその場面をモチーフにしています。

本作のヒロインを演じているカローラ・テーレは品があって愛らしく、演技にも共感できる。

Carola Toelle, die hier die Hauptrolle inne hat, ist eine anmutige, liebreizende Erscheinung, deren Spiel sympathisch berührt.(Neue Kino-Rundschau vom 17. Oktober 1918. S. 59)

Carola Toelle in Das Lied der Colombine (1918)
『Das Lied der Colombine』(1918年)より

Carola Toelle in Vier um die Frau (1921, Fritz Lang)
『彼女をめぐる四人』より

[IMDB]
nm0865438

[Movie Walker]
カローラ・テーレ(Carola Toelle)

[誕生日]
4月2日

[出身]
ドイツ(ベルリン)

[サイズ]
8.6 × 13.4cm

[データ]
Verlag Herm. Leiser, Berlin Wilm. 5661 Phot. Deutsche Bioscop Ges.

ギルダ・ランガー Gilda Langer (1896 – 1920) チェコ/独

「国別サインリスト ドイツ/オーストリア [Germany/Austria]」より

Gilda Langer Autograph/Autogramm/Autographe

1910年代後半、名プロデューサーのカール・メイヤーの目に留まり、ベルリンにやってきて舞台女優としてのキャリアを積み始めます。1917年に映画女優としてデビュー、フリッツ・ラングの最初期作『混血児』『愛のあるじ』(後者ではヒロイン役。どちらも現存せず)に出演を果たしています。

カール・メイヤーが『カリガリ博士』の映画化企画に着手した際、ヒロイン役にギルダ・ランガーを念頭に置いていたそうです。しかし1920年1月にインフルエンザで体調を崩しそのまま病没、わずか24歳にしてそのキャリアを閉じました。

[IMDb]
nm0486300

[出身]
チェコ(オストラヴァ プジーヴォス)

[誕生日]
5月16日

[データ]
Verl. Herm Leiser, Berlin-Wilm. 2222. phot Zander & Labisch

[サイズ]
8.7 × 13.4cm

テオドル・ロース Theodor Loos (1883 -1954) 独

「国別サインリスト ドイツ/オーストリア [Germany/Austria]」より

Theodor Loos 1910s Autographed Postcard

グリンとした目が印象的な男優さん。

ドイツ映画では古株の一人で1916年の有名な連続活劇『ホムンクルス』にも姿を見ることができます。1920年代にラング映画の常連となり、『メトロポリス』で独裁者フレーダーを裏切る秘書、ヨザファート役を好演しました。

戦後までの長い俳優歴を持ち、30~40年代のサイン物は比較的容易に見つけることができます。今回入手できたのは1918年の『Getrennte Welten』主演時の絵葉書でキャリア初期と思われる一枚でした。

[IMDB]
nm0519765

[誕生日]
3月18日

[出身]
ドイツ

[コンディション]
B+

[メーカー]
Film Sterne

[サイズ]
13.5 × 8.5 cm

マルガレーテ・シェーン Margarete Schön (1885 – 1985)

「国別サインリスト ドイツ/オーストリア [Germany/Austria]」より

Margarete-Schon

1924年の『ニーベルンゲン』二部作でジークフリートの妻クリームヒルトを演じた独女優。凍てつくような情炎の表現が必要な難しい役柄を見事に演じきって映画史に名を残しました。

[IMDB]
nm0778159

[誕生日]
4月7日

[出身]
ドイツ

[メーカー]
Ross Verlag

[撮影]
Atelier Hanni Schwarz

[サイズ]
13.5 × 8.5 cm.

[コンディション]
B

1924 – Super8 『ニーベルンゲン 第一部 ジークフリート』 (フリッツ・ラング監督)

「フリッツ・ラング関連 [Fritz Lang Related Items]」 & 「8ミリ 劇映画」より

『メトロポリス』(1927年)と並ぶラング監督のサイレント期の代表作。『第一部:ジークフリート』は竜退治、不死の力の獲得、ギュンター王の娘クリームヒルトへの求婚を経て、裏切りにあった主人公が殺害されるまでの物語を描いていきます。

8ミリとしては米ブラックホーク社の400フィート5巻物、独ピッコロ社によるダイジェスト版などが発売されていました。こちらは戦後にフランスでリリースされた400フィート4巻物。今回はそのうち2本目を試写しています。

[タイトル]
La Mort de Siegfried

[原題]
Die Nibelungen: Siegfried

[製作年]
1924年

[IMDB]
tt0015175

[メーカー]
仏フィルム・オフィス社

[カタログ番号]
不明

[フォーマット]
Super 400ft*4(無声)

1922 – 8ミリ 『ドクトル・マブゼ』 第4巻 (フリッツ・ラング監督)

「フリッツ・ラング関連 [Fritz Lang Related Items]」 & 「8ミリ 劇映画」より

「テロ事件」と題された第4巻では、第2巻に登場してきた御曹司ハルが再登場してきます。マブゼは情婦の踊り子カーラをハルに接近させますが、そこから逆に足が付きカーラが逮捕されます。

敵の包囲網を感じ取ったマブゼ一味はハルとカーラの殺害を図り、さらには検事たちが集まっている警察への爆破を仕掛けていきます。

本来はこの次に完結編の第5巻があるのですがこちらは入手できなかったため今回の上映はこれまで。物語のポイントを上手く押さえ、作品の骨格にある連続活劇のリズム感を強調した素晴らしい編集でした。

[タイトル]
Dr. Mabuse: Das Attentat

[原題]
Dr. Mabuse, der Spieler – Ein Bild der Zeit

[製作年]
1922年

[IMDB]
tt0013086

[メーカー]
独DEFA社

[カタログ番号]
231

[フォーマット]
ノーマル8mm 60m(無声)

1922 – 8ミリ 『ドクトル・マブゼ』 第3巻 (フリッツ・ラング監督)

「フリッツ・ラング関連 [Fritz Lang Related Items]」 & 「8ミリ 劇映画」より

この第3巻からマブゼ博士の宿敵フォン・ヴェンク検事が新キャラクターとして登場。

ヴェンクは富裕な老人になりすまし悪党団がたむろする賭博場へ足を運びます。催眠術を使ったマブゼを現行犯逮捕しようとしますが、悪党一味は辛くも脱出、ヴェンクは返り討ちにあい危うく命を落としかけます。

タクシーに仕掛けられた催眠ガス装置やナンバープレート交換など、人目を欺くギミックが司法と悪漢とのし烈なやりとりを彩っていきます。

[タイトル]
Dr. Mabuse: Gejagt vom Staatsanwalt

[原題]
Dr. Mabuse, der Spieler – Ein Bild der Zeit

[製作年]
1922年

[IMDB]
tt0013086

[メーカー]
独DEFA社

[カタログ番号]
230

[フォーマット]
ノーマル8mm 60m(無声)

1922 – 8ミリ 『ドクトル・マブゼ』 第2巻 (フリッツ・ラング監督)

「フリッツ・ラング関連 [Fritz Lang Related Items]」 & 「8ミリ 劇映画」より

『ドクトル・マブゼ』第2巻はマブゼ博士の特殊能力である「催眠術」に焦点を当てた内容です。

前半では観劇中に目を付けた富豪の青年に催眠術をかけ、ポーカーで有り金をむしりとっていきます。後半はターゲットを変え、伯爵夫妻をカジノで破産させ、妻を我が物にしようと画策していきます。

どちらのエピソードも短いながらも起承転結がはっきりしており、初期のラングが意識していた連続活劇的な早い物語展開を生み出していきます。

[タイトル]
Dr. Mabuse: I. Macht der Hypnose, II. Die Entführung

[原題]
Dr. Mabuse, der Spieler – Ein Bild der Zeit

[製作年]
1922年

[IMDB]
tt0013086

[メーカー]
独DEFA社

[カタログ番号]
229

[フォーマット]
ノーマル8mm 60m(無声)

1922 – 8ミリ 『ドクトル・マブゼ』 第1巻 (フリッツ・ラング監督)

「フリッツ・ラング関連 [Fritz Lang Related Items]」 & 「8ミリ 劇映画」より

『ドクトル・マブゼ』は大正11年(1922年)に公開されたフリッツ・ラング初期の長編映画です。悪漢マブゼ博士の一大絵巻は評判を呼び続編も幾度か作られました。

こちらは1950年代後半~60年代に市販されていた8ミリ版。元々は4時間以上ある大部な作品のエッセンスを5巻(計1時間強)に分けた短縮版となります。

第1巻は「株式取引所」と題されています。

冒頭では客車内での機密書類強奪事件が描き出され、後半は同事件に連動した株価格の上下動を利用してマブゼ博士が一儲けを企てていきます。

[タイトル]
Dr. Mabuse: Unternehmen Börse

[原題]
Dr. Mabuse, der Spieler – Ein Bild der Zeit

[製作年]
1922年

[IMDB]
tt0013086

[メーカー]
独DEFA社

[カタログ番号]
228

[フォーマット]
ノーマル8mm 60m(無声)