c1970 – スーパー8 『松竹8mmライブラリー 日本映画史 前編』(Japanese Cinema History Part I, super8)

「8ミリ 劇映画」より

c1970 Super8 日本映画史 前編

日本映画史00 - 松竹ロゴ日本映画史02 - 緒言日本映画史01 - タイトル

1960年代末~70年代初頭に発売されたと思われる2巻物。前編は19世紀末の映画前史から終戦後の1949年までを扱っています。

現在でも古典として愛されている作品(『愛染かつら』『悲しき口笛』『晩春』)、無声映画の愛好家にはなじみ深い歴史的作品(『紅葉狩』『路上の霊魂』)を中心に、松竹作品を軸として初期映画の流れを追っていきます。
日本映画史07 - 活動大写真b日本映画史07 - 活動大写真c

短い抜粋ながら『ジゴマ』が含まれていたり、『後のカチューシャ』や『虞美人草』(戦闘モブシーンにグリフィスの影響あり)を動画で観れたりと貴重な経験でした。

驚いたのは1913年の 『天馬』。ドイツ映画初の活劇スター、ハリー・ピールの初期作。この時期のハリー・ピール作品が残っているという話をドイツ語圏で聞いた覚えがなく、現地の映画愛好家が聞いたら悶絶しそう。

1887年 『疾走中の馬の連続写真』エドワード・マイブリッジ Sallie Gardner at a Gallop [imdb]

日本映画史05 - メイブリッジ01日本映画史06 - メイブリッジ02

1899年 『紅葉狩』 柴田常吉監督 Momijigari [imdb] [jmdb]
日本映画史08 - 紅葉狩01日本映画史09 - - 02

1911年 『ジゴマ』ヴィクトラン・ジャッセ監督 Zigomar [imdb]

日本映画史12 - ジゴマ01日本映画史13 - ジゴマ02

1912年 『日本南極探検(南極実景)』 Japanese Expedition to Antarctica [imdb] [jmdb]

日本映画史15 - 南極探検01日本映画史16 - 南極探検02

1913年 『アントニィとクレオパトラ』エンリコ・ガッツォーニ監督 Marcantonio e Cleopatra [imdb]

日本映画史19 - アントニーとクレオパトラ

1913年 『天馬』 ハリー・ピール監督 Tenma/Pegasus (Unidentified Harry Piel Action Short)

日本映画史20 - 天馬日本映画史21 - 天馬02

1915年 『後のカチューシャ』 細山喜代松監督 Nochi no Katyusha [imdb] [jmdb]

日本映画史17 - 後のカチューシャ01日本映画史18 - 後のカチューシャ

製作年不明 『自雷也』 尾上松之介主演 Jiraiya (Unidentified Version)

日本映画史10 - 自雷也01日本映画史11 - 自雷也02

1921年 『路上の霊魂』 村田実監督 Souls on the Road [imdb] [jmdb]

日本映画史23 - 路上の霊魂01日本映画史24 - 路上の霊魂02

1921年 『虞美人草』 小谷ヘンリー監督 Gubijinsô [imdb] [jmdb]

日本映画史25 - 虞美人草01日本映画史26 - 虞美人草02

1923年 『船頭小唄』 池田義信監督 Sendô kouta [imdb] [jmdb]

日本映画史29 - 船頭小唄

1923年 『関東大震災』

日本映画史30 - 関東大震災日本映画史31 - 関東大震災02

1931年 『マダムと女房』 五所平之助監督 Madame and Wife [imdb] [jmdb]

日本映画史32 - マダムと女房01日本映画史33 - マダムと女房02

1938年 『愛染かつら』 野村浩将監督 The Tree of Love [imdb] [jmdb]

日本映画史34 - 愛染かつら01日本映画史35 - 愛染かつら02

1939年 『暖流』 吉村公三郎監督 Warm Current [imdb] [jmdb]
1943年 『花咲く港』 木下恵介監督 Port of Flowers [imdb] [jmdb]
1945年 『そよかぜ』 佐々木康監督 Soyokaze [imdb] [jmdb]
1949年 『悲しき口笛』家城巳代治監督 Sad Whistling [imdb] [jmdb]
1949年 『晩春』 小津安二郎監督 Late Spring [imdb] [jmdb]

白黒110メートル(約18分)
光学録音
サングラフ/松竹

国立映画アーカイブ (NFAJ)

GW旅行も最終日、この春に近代美術館から独立したばかりの国立映画アーカイブ(NFAJ)での上映イベントに参戦。

見たのは以下の作品でした。

『明治の日本』(1897-1899)
紅葉狩[デジタル復元版]』(1899)
『明治二十八年の両國大相撲』(1900)
『第一篇 日露戰役 追懷ノ巻』(1933)
小林富次郎葬儀[デジタル復元版]』(1910)
『明治四十五年四月四日 藤田男爵 葬式の實况[デジタル復元版]』(1912)
『明治天皇 御大葬餘影』(1912)
『嗚呼乃木將軍』(c1912)
『三月十日』(1933)
『郵便物語 遞信シリーズ・第一扁』(1936)

『三月十日』を除いて無音状態での映写で相当の集中を強いられる流れになりました。その中では『両國大相撲』に動きがあり、笑い声が漏れ聞こえる面白さでした。

個人的には『小林富次郎葬儀』を興味深く鑑賞しました。この時期、日本に関わらず葬列を題材とした記録フィルムが多く残されています。行列や式典を記録した映像が大半ですし、好んで見るものでもないと思っていたのですが、社会・経済・文化に貢献した人々の死を悼むという「葬列映画」が一ジャンルとして存在していた事実を実感することができたのです。

フラッター嬢の『転生の舞』(1907年、仏、セグンド・ド・ショーモン監督、モノクロ版)

「9.5ミリ動画 05a 劇映画」より

仏パテ社の9.5mmフィルムカタログで12番となる初期の一本。

映画の誕生当初からリアリティを追及する動きと、ファンタジーに向かう動きの二つが見られました。メリエス作品などは後者に位置づけられ、今回ご紹介するスペイン出身のセグンド・ド・ショーモン作品もその流れに属しています。

『転生の舞』は最初期の特撮/トリックフィルムで、蝶に扮した女性の羽が羽ばたくごとに模様と形を変えていきます。

パテ社9.5㎜版では手彩色(ステンシルカラー)の物も発売されておりますが今回入手できたのはモノクロ版。華やかな彩色版とはまた違った繊細な美しさがあります。

[タイトル]
Miss Flutter: Metempsycose

[原題]
Métempsycose

[製作年]
1907年

[IMDB]
tt0451432

[メーカー]
仏パテ社

[カタログ番号]
12

[フォーマット]
9.5mm (ノッチ有) 10m *1リール

手彩色版のデジタル化はこちらから(YouTube)

1909 – 9.5mm 『好敵手(良き猫には良いネズミ)』(À bon chat, bon rat)

ベッドで仲良くごろごろしている猫とネズミを撮影した一分ほどの映像。カミーユ・ドゥ・モーロン監督による1909年作品。市販9.5㎜フィルムとしては最初期のカタログ番号14番で発売されました。

原題「ア・ボン・シャ・ボン・ラ」はフランスのことわざで、敵であっても尊敬できるなら切磋琢磨しあえる相手に変わる意味で使われます。

An Early Cat-and-Mouse-Styled Proverbial Short Film by Camille de Morlhon

[タイトル]
À bon chat, bon rat

[製作年]
1909年

[IMDB]
tt0432634

[メーカー]
仏パテ社

[カタログナンバー]
14

[フォーマット]
9.5mm (ノッチ有) 20m *1リール

フリッツィ・マサリー Fritzi Massary (1882 – 1969) 墺

Fritzi_Massary

トーキーが実用化される以前にも映画と音をシンクロさせた「音の鳴る映画」は始まっていました。1900年のパリ万博でも当時のフランスの人気歌手の映像と音が流されていたくらいです。

1903年、オーストリアでも歌と踊りを記録する試みが行われました。ここではデビューまもないフリッツィ・マサリーの映像が残されています。ステージの人気者となり、この後20年代にかけて豊かな活動を続けていきます。

[フリッツィ・マサリーとジョゼフ=ジャン・ピエトロのデュエット]

[IMDb]
nm0557188

[撮影]
Nicola Perscheid

ジュエル・カーメン Jewel Carmen (1897 – 1984) 米

jewel-carmen

仏サイン蒐集家、アンドレ・ジュニオ氏旧蔵の一枚。

1910年代にダグラス・フェアバンクス喜劇でお茶目な演技を披露。『二都物語』や『レ・ミゼラブル』(いずれもフランク・ロイド監督作品)でシリアスな役柄にも挑戦。

Jewel Carmen in Flirting with Fate (with Douglas Fairbanks)
『ドーグラスの厭世』(Flirting with Fate, 1916)でのフェアバンクスとカーメン

数年の休養を挟み20年代初頭に夫ロランド・ウェストの監督作品でカムバック。ウェストは『バット(The Bat)』の監督・主演を務めていて、ジュエル・カーメンもヒロイン役で登場しています。この復帰は長くは続かずサイレント映画終焉と同時にスクリーンから姿を消しました。

ジュエル・カーメンの名は1935年冬に再び紙面を賑わせます。

同年12月、人気女優セルマ・トッドの死体が発見されます。死因は一酸化炭素中毒。事故死?自殺?他殺?憶測が駆け巡ったものの事件は迷宮入り。ハリウッドのミステリーとして語り継がれていきます。セルマは離婚したロランド・ウェストと付きあっており事件当時は共同でレストランを経営中。遺体の発見された場所はジュエル・カーメン所有地の駐車場でした。

[IMDB]
nm0138386

[誕生日]
7月13日

[出身]
US

[コンディション]
B-