1933 – 『東西映画 人氣花形寫眞大鑑』 冨士新年號附録

« National & International Cinema Stars Photo Album »
 supplement to the « FUJI » magazine Vol.6, No.1 (Jan 1933) 
published by the Dai Nippon Yubenkai Kodansha, Tokyo, Japan.

以前にも何度か紹介した雑誌『冨士』新年特別号の昭和8年度版。同誌が1930年代に残した映画関連特別号は以下の6冊になります。

昭和6年(1931年)1月: 『芝居と映画 名流花形大寫眞帖』
昭和8年(1933年)1月: 『東西映画 人氣花形寫眞大鑑』
昭和9年(1934年)1月: 『處女作・出世作・代表作 映画花形大寫眞帖』
昭和9年(1934年)9月: 『最新映画大鑑』
昭和11年(1936年)1月: 『映画とレビュー 人氣花形大寫眞帖』
昭和12年(1937年)1月: 『名扮装名場面 映画・芝居大寫眞帖』

『冨士』の特別号は各号によって編集方針が異なっています。1931年版は収録人数が多くややマイナーな俳優までカバーしており使い勝手が良いものですし、1934年版は作品名と監督、役者の紐づけに便利。1933年版の本号は写真の完成度が非常に高いものでした。

邦画が無声からトーキーに移行しつつある時期で俳優の入れ替わりも目立つのですが、若手ばかりでなくサイレント時代からの古参も今までと違う表情を見せています。澤蘭子の洗練、柳さく子の翳りの濃い妖艶さ、飯田蝶子の枯れ具合、スーツに丸眼鏡姿の伝次郎が放つ殺気など見どころ多し。

中野英治、大日向傳や岡譲二の伊達男っぷり、水久保澄子と桂珠子のエキゾチックな美しさ、岡田静江のクールさ、星玲子と琴糸路のしなやかな透明感…30年代に台頭した若手も負けていません。普段のイメージと違った雰囲気を出している俳優さんも多く、製作陣が時間をかけてそれぞれの個性を引き出していった様子が伝わってきます。他の写真にも興味のある方はこちらをどうぞ。

1933年 – 9.5mm個人撮影動画『総社・三ツ山大祭』(姫山公園、射楯兵主神社、置山、中二階町通り、満蒙と産業博覧會)

「9.5ミリ 個人撮影動画」より

1933 Mitsuyama Festival at Himeji, Hyogo Prefecture
(9.5mm japanese home movie)

兵庫県在住の9.5ミリ撮影家さんが残したフィルムを4点手に入れました。こちらはその一つで、20年に一度開催される姫路市の奇祭「三ツ山大祭」を記録したものです。

動画冒頭では三体の「置山」(二色山、五色山、小袖山)が順に映し出されていきます。

次いで祭りの見どころの一つ、地元の町々が制作した「造り物」。動画ではまず中二階町による「鞍馬天狗」が登場。現在では残っていない中二階町通りのアーケード街の屋根に設置されています。

お揃いの洋服を着た女の子が二人登場。撮影者の娘さんのようです。歩きながらアーケード街を撮影し、時折振り返って市街地の様子を記録しています。逆光気味で暗めですが、建築やデザイン視点で見るとこれはこれで面白いです。造り物「蜘蛛切丸」の説明文。

アーケードを抜けた瞬間、視界が開けて華やかに飾られた町が現れる場面がとても綺麗です。

最後は姫路城巡り。ここからは露出過多となって映像が淡くなります。同行している家族や、祭りに集まってきた観衆の様子が映し出されていきます。中國日日新聞社が主催していた「満蒙と産業博覧會」の会場入口付近でフィルムが終わりました。

1933年 – アレクサンドル・アルキリエール(ジゴマ役俳優)直筆書簡

「『ジゴマ』/ヴィクトラン・ジャッセ [Zigomar / Hippolyte-Victorin Jasset]」 より

1933年 - アレクサンドル・アルキリエール(ジゴマ役俳優)直筆書簡
Alexandre Arquillière 1933 Letter to Emile Drain

10月5日の12時半、バリュ通りのレストラン「デ・ヴォージュ」に世界演劇協会(SUDT)の同志数名が集まる予定になっています。興味あるのではないかな、と。良ければご参加を。

Quelques camarades de la S.U.D.T. se réunissent le 5 Octobre à midi et demi au restaurant « des Vosges » rue Ballu. Je pense que cela peut vous interesser et vous demande d’en être.

zigoma-contre-nick-carter-cine_journal-1912
1912年『ジゴマ後編(ポーリンの殉職とニック・カーターの復讐)』宣材スティル。左手前にジゴマ役のアルキリエール

1911-zigomar
スーパー8『松竹 日本映画史 前編』より『ジゴマ』抜粋

1911年の映画版『ジゴマ』で主役ジゴマを演じたのは舞台出身のアレクサンドル・アルキリエールでした。

アンドレ・アントワーヌが1887年に設立した「自由劇場」の古参メンバー。大手と一線を画した自然派志向で知られた演劇一派で、今で言うなら演劇界のオルタナティヴな流れに位置しています。

La_Rampe_1916-05-11-arquilliere-s
1916年の演芸誌ランプ表紙を飾ったアルキリエール

同劇場時代に知りあったフィルマン・ジェミエとはその後長く交友が続いていきます。ジェミエは1922年にオデオン座支配人となり、次いで1925年に国内活動に留まらないグローバル演劇を指向する「世界演劇協会(SUDT)」を設立しています(現在のユネスコ国際演劇協会のルーツの一つ)。

アルキリエールも多かれ少なかれこの活動に絡んでいたようで、俳優仲間のエミール・ドレン宛に会合の日時を知らせたのがこちらの手紙です。封筒も残っていて消印は1933年10月2日付。

いわゆる美形俳優の枠に括られる俳優さんではないものの、存在感と豊かな表情が舞台映えします。映画との関連も深く、1908年からアルベール・カペラーニ短編に登場、10年代にジャッセ作品の主要俳優となって「ジゴマ」が当たり役となりました。その後もジェルメーヌ・デュラックの不条理家庭劇『微笑むブーデ夫人』(1923年)やジャン・ルノワールのエキゾチックな南部劇『荒地(ブレッド)』(1929年)で重要な役割を演じていました。

[IMDb]
Alexandre Arquillière

[Movie Walker]

[出身地]
フランス(ロワール県)

[誕生日]
4月18日

[データ]
住所入りの個人用便箋に手書き、13,5 x 21 cm。封筒はパリ市ガール・サン・ラザール局の1933年10月2日付消印有。

玉川みちみ (1913 – 1934)

日本・女優 [Japanese actresses]より

Tamagawa Michimi Autographed Postcard

みちみのゐるところに朗らかさが涌く。[…]よく江川なほみと一しょに論じられるが、そのモダン味において、みちみの方がより新鮮である。[…]みちみこそこれからの女優、そしてもう少し芝居がうまくなることによって、明日こそ大スターになるだろう。

活発なモダンガールの印象が強い女優さんで無声映画時代に「奥野みちみ」の名前で活動していた記録も残っています。サインには「1933」の年号あり。結核のため翌1934年に映画界を引退、同年暮れに病没、「明日こそ大スターになるだろう」の予言を実現することは出来ませんでした。

[IMDB]
nm2957556

[JMDB]
p0086380

[出身]
日本

[生年月日]
8月1日

[コンディション]
B+