1980年代 – 復刻版・中国初期映画女優絵はがき(協興隆老廣告) その二

協興隆老廣告明信片
(Old Advertisement of Xiexing Long)

以前に紹介した上海製の絵葉書「協興隆老廣告」の別セット。8枚組で紙ケース入り。「良友」「新華画報」「婦人畫報」といった一般誌・女性誌と「上海影壇」の表紙をポストカードサイズに復刻したものです。

陳波兒 1930年『良友』
(陈波儿, 1907 – 1951)Chén Bōer [IMDb]

阮玲玉 1934年12月『良友』
(1910 – 1935)Ruǎn Língyù [IMDb]

李霞卿 1936年9月『婦人畫報』
(1912 – 1998)Lǐ Xiáqīng [IMDb]

陳雲裳 1939年4月『新華画報』
(陈云裳, 1919 – 2016)Chén Yúnshang [IMDb]

談瑛 1946年 雑誌名未詳
(谈瑛, 1915 – 2001)Tán Yīng [IMDb]

王丹鳳 1943年10月 『上海影壇』
(王丹凤、1924 – 2018)Wáng Dānfèng [IMDb]

周璇 1943年11月 『上海影壇』
(1920 – 1957)Chow Hsuan/Zhōu Xuán [IMDb]

胡楓 1944年3月 『上海影壇』
(胡枫)Hú fēng

陳雲裳や周璇、談瑛は複数枚に登場。上海出身あるいは同地を拠点に活動していた女優・歌手を中心にピックアップされています。また後に監督業にも進出、中国アニメ界の先駆者として活躍した陳波兒、中国初の民間女性パイロットでもある李霞卿など中国の文化・社会に影響を与えた女性にも配慮が払われています。

今回調べていてたまたま発見。3週間ほど前(2021年10月11日)にインターネット・アーカイヴに「上海影壇」誌全巻のデジタル版がアップロードされていました。現物を手に入れるのは難しい雑誌だけにこういった形でデータが公開されるのは助かります。

1980年代 – 復刻版・中国初期映画女優絵はがき(協興隆老廣告明信片)

協興隆老廣告明信片
(Old Advertisement of Xiexing Long)

かつて上海で発売されていたレトロ広告の復刻絵葉書セットより映画女優をあしらった6枚。18×12センチと日本の絵葉書より2回りほど大きなサイズ。正式商品名は「協興隆老廣告」。90年代位まで上海市中で普通に市販されていて、当時在留していた邦人や観光客が土産に持ち帰ってくることも多かったそうです。現在は絶版となり入手が難しくなっています。

オリジナル雑誌の発売順に並べてみました。

陳玉梅 1934年『電影画報』
(陈玉梅, 1910 – 1985)Chén Yùméi [IMDb]

陳雲裳 1939年6月『新華画報・号外』
(陈云裳, 1919 – 2016)Chén Yúnshang [IMDb]

白光 1944年11月『上海影壇』
(1921 – 1999)Bái Guāng [IMDb]

談瑛 1946年 雑誌名未詳
(谈瑛, 1915 – 2001)Tán Yīng [IMDb]

周璇 1947年1月 『藝海畫報』
(1920 – 1957)Chow Hsuan/Zhōu Xuán [IMDb]

周璇 1947年4月 『中国電影畫報』

服の柄や色使い、デザインにお国柄が出ていますし、文字のフォントも洗練され質の高いものです。

陳雲裳は李香蘭との共演作(『万世流芳』)があり、同作は昨年末に国立映画アーカイブで企画された「生誕100年 映画女優 山口淑子」で上演されていました。白光は『蕩婦心』(1949)『一代妖姬』(1950)、談瑛は『粉紅色的夢』(1932年)が現存。周璇は代表作のひとつ『馬路天使』(1937年)が知られていますが、それ以上にミステリアスな夭折ぶりが人々の想像力を掻きたてるようで現在でも様々な論議を呼んでいます。陳玉梅は歌手としての音源は残っているものの出演映画作は見つかっておりません。

上海にはトランスラピッド(上海磁浮示範運營線)が完成する少し前に行ったことがあります。建てかけの高層マンションの足元に古い長屋が残っていて、ブルドーザーでガリガリ削られていたのがとても印象的でした。あの時に絵葉書や古雑誌を買い漁っておけば…そのために時計の針を戻したい気分です。また2013年に完成した上海電影博物館は観光名所の一つにもなっています。戦前~戦中期の資料も充実しているようなのでいつか足を運べたらなと思っています。

1987 – 『ファルコネッティ伝』 エレーヌ・ファルコネッティ著

1987-Falconetti 01

『裁かるるジャンヌ』の主演女優、ルネ・ファルコネッティの伝記。近親者による著作としては1987年の本書が唯一となります。

いつもなら深夜でも起きているルネ が早寝をしようと心がけていた。それでも寝付くことができずにベッドで朝まで読書に耽っている。(61ページ)

古典に親しみ、新しい情報にも貪欲で、いつも寝不足続きだった若き女優の姿。こんなエピソードを紹介しているのは実の娘エレーヌさんで、幼い頃から母の言動を間近で見てきたからこその証言が多く含まれています。

本書では:

・旧知の仲だった老実業家の愛人となり認知されない娘(エレーヌ)を身ごもった
・この実業家が亡くなった際に遺産分与を受け、20年代末に自身の劇団を立ち上げた
・男優シャルル・ボワイエとの恋愛関係
・晩年、南米に移住後は不遇の生活を送り、家具もほとんどない部屋で生活をしていた

などこれまで知られていなかった女優の実像が明らかにされています。やや長くなりますが別稿(『ファルコネッティ伝』を読む)にて詳しい分析を行っています。


原題:Falconetti
著者名: Hélène Falconetti

著者による1988年7月22日付の献辞あり

出版社: Du Cerf
出版: 1987年12月1日
叢書:リストワール・ア・ヴィフ
フォーマット:ソフトカバー 274 ページ
ISBN-10: 2204028452
ISBN-13: 978-2204028455