1926 – 9.5mm セダ・バラ主演『マダム・ミステリー』

「9.5ミリ動画 05a 劇映画」より

1937年、20世紀フォックス社のフィルム所蔵施設で火災が発生し、収められたフィルムの全てが焼失しました。セダ・バラ出演作品の大半もこの大火で失われています。

『クレオパトラ』断片を含め、現在まで残された出演作品は6作のみとされています。その一つが引退作となった『マダム・ミステリー』で、こちらは9.5ミリの縮約版となります。

デビュー当初の妖婦・毒婦の設定が時代遅れとなっていく中で、セダ・バラは幾度かイメージチェンジを行いながら時代に適応しようとしていました。本作はローレル&ハーディーによる喜劇物で、セダ・バラは「街一つ吹き飛ばすほどの威力がある」超小型爆弾を運ぶ女スパイに扮しています。

後半、客船での移動は初期のセダ・バラ映画によく見られた展開(船に乗っている謎の美女)をパロディにしたものです。髪を下ろした就寝場面での妖しい存在感がさすがです。

[タイトル]
Madame Mystery

[公開]
1926年

[IMDB]
tt0017098

[メーカー]
米パテックス社

[カタログ番号]
C-110

[フォーマット]
9.5mm (ノッチ有) 20m *2リール

1915 – アニタ・スチュワート主演 『The Juggernaut』 DVD

グリフィスの『国民の創生』(1915年4月25日公開)とほぼ同時期(4月19日)に公開されたヴァイタグラフ社の5巻物ドラマ。監督はラルフ・インス。

今回入手した2012年のDVDには第5巻目のラストシーンのみが収められています。その後残りのフィルムが一部見つかっており、版元ハーポディオン社のサイトで改良バージョンの視聴が可能です。

最終巻に蒸気機関車が煙を上げながら脱線し、川に転落する場面が収められています。本物の機関車を使った撮影で驚くほどの迫力があります。

ただ『The Juggernaut』の面白さは20年という歳月をまたいだ運命劇にあるような気がします。主演のアニタ・スチュワートが母と娘の二役を好演、その他の俳優の演技も申し分なくこの傑作サイレントを忘れがたい作品にしています。

※作品の背景や修復のプロセスについてはThose Awful Reviewsに詳しい記事あり。

1923 – 9.5mm 『いろり』 (ロベール・ブドリオズ監督)

「9.5ミリ動画 05a 劇映画」より

後に性格俳優として評価を確立していくシャルル・ヴァネル(Charles Vanel)が初めて注目を浴びた長編として知られています。

捨て子として育てられた女性アルレットをめぐり、兄弟の間で奪い合いが始まります。アルレットは弟のジャンに好意を持っていたのですが、養父は芸術家肌のジャンを認めず、兄のベルナールに無理矢理嫁がせてしまうのです。失意のうちに家を出るジャン。しかし夫の暴力に耐えきれなくなったアルレットは手紙でジャンに助けを求めるのでした…

物語は暗めで配役にも華やかさはありません。しかし兄(ヴァネル)、弟(ジャック・ド・フェロディ)、父(モーリス・シュルツ)の三者三様の演技は見応えがあり、田舎の封建的な様子をえぐっていく展開もなかなかで硬派な秀作と見ました。

[タイトル]
L’Atre

[公開年]
1923年

[IMDB]
tt0011901

[メーカー]
仏パテ社

[フォーマット]
9.5mm (ノッチ有) 200m *1リール

1919 – 9.5mm 『絶体絶命の乙女』(ジョージ・アーチェインバウド監督、米)

「9.5ミリ動画 05a 劇映画」より

1910年代の雑誌で時々姿を見かける女優さんにジューン・キャプリスがいます。彼女が仏パテ社と契約を結んで主演した作品が『絶体絶命の乙女(ダムゼル・イン・ディストレス)』でした。

お金持ちのお嬢様と青年作曲家を軸にした人違いのコメディは(当時パテ社のスタジオがあった)ニューヨークでのロケ撮影に雰囲気があり、乗用車、タクシー、街並み、ファッションや髪型など満喫できる作品となっています。

[タイトル]
Mam’zelle Milliard

[原題]
A Damsel in Distress

[製作年]
1919年

[IMDB]
tt0010042

[メーカー]
仏パテ社

[字幕]
仏語

[フォーマット]
9.5mm

国立映画アーカイブ (NFAJ)

GW旅行も最終日、この春に近代美術館から独立したばかりの国立映画アーカイブ(NFAJ)での上映イベントに参戦。

見たのは以下の作品でした。

『明治の日本』(1897-1899)
紅葉狩[デジタル復元版]』(1899)
『明治二十八年の両國大相撲』(1900)
『第一篇 日露戰役 追懷ノ巻』(1933)
小林富次郎葬儀[デジタル復元版]』(1910)
『明治四十五年四月四日 藤田男爵 葬式の實况[デジタル復元版]』(1912)
『明治天皇 御大葬餘影』(1912)
『嗚呼乃木將軍』(c1912)
『三月十日』(1933)
『郵便物語 遞信シリーズ・第一扁』(1936)

『三月十日』を除いて無音状態での映写で相当の集中を強いられる流れになりました。その中では『両國大相撲』に動きがあり、笑い声が漏れ聞こえる面白さでした。

個人的には『小林富次郎葬儀』を興味深く鑑賞しました。この時期、日本に関わらず葬列を題材とした記録フィルムが多く残されています。行列や式典を記録した映像が大半ですし、好んで見るものでもないと思っていたのですが、社会・経済・文化に貢献した人々の死を悼むという「葬列映画」が一ジャンルとして存在していた事実を実感することができたのです。

1930年代中頃 – 9.5mm短編 『高等馬術』(伴野商店)

日本の伴野商会による9.5mmフィルムは現存数が極端に少なく、タイトルによっては十本も残っていないのではないかと思われます。こちらは陸軍の協力を得て作成されたと思われる馬術の紹介動画。

冒頭、障害物を飛び越えていく颯爽とした馬が登場。その後は「高揚歩調」「スペイン常歩」「短縮駈足運動」「三脚駈足」など難易度の高い歩法が披露されています。

以前に紹介した別フィルムにも「不燃性フヰルム」のクレジットが見られましたが、今回は同じ文字が左から右への表記に変わっています。

1953 – スーパー 8 『珍説忠臣蔵』(古川ロッパ・柳家金語楼・エンタツ&アチャコ・田端義夫・堺俊二ほか)

「8ミリ 劇映画」より

1953年(昭和28年)に公開された忠臣蔵のパロディ映画。吉良上野介が影武者を雇ったり、腰元による長刀隊が登場するなどオリジナルの設定が幾つか組みこまれています。

ドタバタ、シチュエーションの喜劇、アクション、しゃべくり、ナンセンス、ミュージカルなどを組み合わせておりますが、キレッキレという感じはせずまったりしたお笑いの時空間が流れていきます。

ほとんどのキャストが脚本と監督の下で動いているのとは対照的に、エンタツ&アチャコが登場すると二人の独壇場となり空気が変わります。一時代を築いただけはある、と唸らせる貫禄がありました

[原題]
珍説忠臣蔵

[製作年]
1953年

[Movie Walker]
mv23450

[IMDB]

[JMDB]
http://www.jmdb.ne.jp/1953/cc000060.htm

[メーカー]
東宝株式会社/東宝映像株式会社

[フォーマット]
Super 8mm 300ft 24コマ/秒(光学録音/カセット付き)