1930年代前半 豆ブロマイド

手持ちの豆ブロより1932~34年と思われるものを一部スキャンしました。紙質はあまり良くはなく裁断のずれている個所も目立ちます。名の知れた男女優さんばかりですがそれでも数名特定できていません。活動期間の短かった大都・琴路美津子さんのブロマイドも一枚含まれています。

クレール・ロットー Claire Lotto (1893 – 1952) 独

Claire Lotto Autographed Postcard
Claire Lotto Autographed Postcard

名優カール・デ・フォグト(Carl de Vogt)の奥さんでもあった女優で、1920年代前半~中盤のサインと思われます。

20年代前半のドイツで人気を得て幾つかの作品は日本でも公開されていました。芸歴は意外と長く1910年代中頃からすでに活躍。下積み時代にハンガリー映画に多く出演しており、マイケル・カーティス(ケルテース・ミハーイ)の初期短編の常連でもありました。

Claire Lotto in Az utolsó hajnal
Claire Lotto in Az utolsó hajnal (1917, Kertész Mihály)

1917年作品『最後の暁』マイケル・カーティス作品

カーティス初期作は現存しているものが多く、何かの機会に観ることがあればクレールさんがひょいと登場している可能性もありえます。

[異表記]
Cläre Lotto, Kläry Lotto

[IMDB]
nm0521556

[Movie Walker]
クレール・ロットー (Claire Lotto)

[誕生日]
9月23日

[出身]
ドイツ(ポメラニア)

[サイズ]
9.1 × 14.0cm

[データ]
Verlag Herm. Leiser, Berlin Wilm. 3833 Westi

リリアン・ハーヴェイ Lilian Harvey (1906 – 1968) 独

Lilian Harvey Autographed Postcard
Lilian Harvey Late 1920s Autographed Postcard

日本でも人気の高い『会議は踊る (1931年)』『ガソリン・ボーイ三人組(1930年)』などの初期ドイツ製オペレッタで主演を務めた女優さん。キャリアのピークが30年代初頭ですのでサイレント映画女優というより初期トーキーのスターの呼び方がしっくりきます。

今回入手したのは1920年代後半のサイン絵葉書。髪型、まつ毛の作りかた、眉の描き方が30年代と違っています。サインの書き方も後年に比べ字がやや大きく筆跡もダイナミック。

30年代中盤以降、ナチス政権下で不遇をかこちキャリア後期に失速を見せました。それでもヴィリー・フリッチらとの共演で見せた眩さは褪せる気がしません。

1931-Der Kongreß tanzt
『会議は踊る』でのリリアン・ハーヴェイ

[IMDB]
nm0367613

[Movie Walker]
リリアン・ハーヴェイ(Lilian Harvey)

[誕生日]
1月19日

[出身]
イギリス(ロンドン)

[サイズ]
9.0 × 14.0cm

[データ]
Verlag Herm. Leiser, Berlin Wilm. 6007 Phot.Rembrandt

1914 – 8mm パール・ホワイト主演 『ポーリンの危難:第2章 西の果ての女神』

Standard 8 Pearl White in Goddess of the Far West
(1914, US Blackhawk Print)

パール・ホワイトの出世作となった名作活劇『ポーリンの危難』の第2章。ポーリンが相続した遺産を狙う悪党たちがアメリカン・ネイティヴを買収、誘拐を試みていきます。後半部には「崖を駆け降りながら巨石に追いかけられるヒロイン」の場面を含んでいます。

パール自身の中〜後期活劇と比べると全体の流れが意識されておらず章ごとの独立が高いのが特徴でしょうか。物語の整合性があやふやであったり、ご都合主義に驚く場面もありますが、辻褄を深く考えず各章の見せ場、アクションを追及していたと言うこともできます。

ブラックホーク社からの8ミリ版はコントラストがきつめで古風な質感。DVD版と比べると解像度に限界はありますが、見直していると新しい発見が出てきます。

[タイトル]
Perils of Pauline, Chapter 2 : Goddess of the Far West

[製作年]
1914年

[IMDB]
tt0004465

[メーカー]
米ブラックホーク社

[メーカー記号]
810431407

[フォーマット]
Standard 8mm 400フィート×3 (実質1000フィート)

1913 – 8mm パール・ホワイト主演 『夜に彷徨ふ女(ロスト・イン・ザ・ナイト)』 (米ブラックホーク社)

Standard 8 Pearl White in Lost in The Night
(1913, US Blackhawk Print)

サイレント時代に活躍した活劇俳優(ウィリアム・ダンカン、エディー・ポロ、ヘレン・ホームズ、ルース・ローランド…)たちは最初から連続活劇スターを目指していた訳ではなく、キャリア初期の試行錯誤の末に流れついた者がほとんどでした。パール・ホワイトも同様で、1910~13年の間に様々な役柄で1~2リール物の短編劇に出演しています。

このうち米ブラックホーク社が2作を8ミリで販売していました。1913年作品の『夜に彷徨ふ女』がその一つです。

パール・ホワイトは夢遊病を患った婦人役で登場。貴金属盗難をめぐるミステリと家族ドラマのどっちつかずになってしまい、当時の基準から見ても並以下の出来映えなのですが、パール・ホワイトのキャラクター作りの変遷を見ていく上で興味深い作品です。

もう一作の『紙人形(The Paper Doll)』が面白いという話も小耳に挟みました。どちらともデジタルソフト化されていませんので機会があったら8ミリで入手したいと思っています。

[タイトル]
Lost in The Night

[製作年]
1913年

[IMDB]
tt0003083

[メーカー]
米ブラックホーク社

[メーカー記号]
810-417

[フォーマット]
Standard 8mm 400フィート

1923 – 16mm パール・ホワイト主演 『プランダー』 断片(ジョン・ハンプトン・コレクションより)

16mm – Pearl White in Plunder (1923)
lower contrast 2nd negative preview
from the John Hampton Collection

1910年代に一世を風靡したパール・ホワイトでしたが、連続活劇の女王の立ち位置に複雑な思いがあったようです。パテ社との契約を終えた後パラマウント社のドラマ作品に出演を開始。しかし思うように運びませんでした。低迷する人気を前に活劇への復帰を決断、旧知のジョージ・B・サイツを監督に『プランダー』を完成させました。同作は1923年に公開され女王の帰還は好意的に受け入れられます。残念ながら撮影中にスタントマンが事故死する不幸もあり、本作を最後にパールは連続活劇を離れています。

全15章仕立て。完全版はUCLAに保存されているものの全編がソフト化されたことはなく、複数のメーカーが断片をデジタル化するのみにとどまっています。

今回入手した16ミリはリーダー部分に「John E. Hampton」の名前が記されています。

ジョン・ハンプトン氏は1942年に「オールドタイム・ムービー・シアター」を立ち上げた人物で、その無声映画コレクションは個人レベルとして当時最大級のものでした。1988年にUCLAが保存プロジェクトを発案、ハンプトン氏も売却に合意します。この時に基金を立ち上げ資金提供したのがヒューレット・パッカード社のデビッド・パッカード氏だそうです。現在UCLAに保存されている完全版『プランダー』はジョン・ハンプトン氏からデビッド・パッカード氏経由で所有権を移したプリントです。

リーダーには「低コントラスト版の第2ネガより Made from negative #II (lower contrast – second made negative)」の手書き文字。オリジナルのプリントから16ミリの複製を作成する際、条件を変えてコントラストの異なる版が作られ、その際に発生したプレビュー用の断章と推定されます。

[参照]
英ガーディアン紙によるオールド・タイム・ムービー・シアターの紹介
https://www.theguardian.com/film/2000/sep/08/culture.features2
UCLA委託によるジョン・ハンプトン・コレクション目録作成についてブログ記事
http://docsrused.blogspot.com/2013/07/john-hampton-and-silent-movie-theater.html
デビッド・パッカード基金の保存フィルム一覧
https://www.packhum.org/preserved.html

[『プランダー』断章を含むDVD]
2006: Pearl White, Queen of the Serials (Grapevine Video) 数分のプレビュー動画
2008: The Lost Serial Collection (Serial Squadron)

[タイトル]
Plunder

[製作年]
1923年

[IMDB]
tt0014365

[メーカー]
非売品(保存作業時に発生したプレビュー用の第2プリント)

[フォーマット]
16mm (ダブルパーフォレーション) 無声 400フィート

山田 五十鈴 (1917 – 2012)

Yamada Isuzu Autographed Postcard
Yamada Isuzu Autographed Postcard

 

そうです遠い昔、ウズマサ撮影所の所長室に、まことに顔だちのよい下町風な姿で可愛いい女の子が大人に連れられて当時の池永浩久所長に挨拶しています。所長は大変ご機嫌で、明るい笑声が窓の外まで流れています。これが山田五十鈴さんの若き日の入社第一日です。

『髪と女優』(伊奈もと著、1961年、151頁)

サイレント映画云々で語るより昭和を代表する大女優の一人と呼ぶのがしっくりきます。

デビュー時はまだ無声で、娘役を演じた30年代作品(『マリアのお雪』)も数点現存しています。地力を蓄えて本領を発揮したのは戦後でした。一般の評価は高くないかもしれませんが独立プロ作品『女ひとり大地を行く』(1953年)のアンナ・マニヤーニ直系の演技も素敵でした。

[IMDB]
nm0945222

[JMDB]
p0147410

[出身]
日本(大阪)

[誕生日]
2月5日

[サイズ]
8.6 × 13.6 cm

[コンディション]