1922 – Super8 『吸血鬼ノスフェラトゥ』(F・W・ムルナウ監督) 西独DEFA版

1922-『吸血鬼ノスフェラトゥ』

Nosferatu: Ende des Vampirs
(From « Nosferatu », dir/F.W. Murnau, 1922) DEFA Super8 Print

先月末にスキャンと併せて映写機での実写を行いました。

名の知れた一作でもあって英語版の16ミリや8ミリを市場で見かけることがあります。フィルムの現存状況や修復版の元となった35ミリプリントの詳細な情報はブレントン・フィルム [英語]でまとめられています。

ドイツでは西ドイツのDEFA社から2巻(前編『吸血鬼の棲まう城』245番、後編『吸血鬼の最期』247番)に分けられたスーパー8のダイジェスト版が発売されていました。こちらはその後編。

このフィルムに関しては2017年に一度実写でのスクリーン画像をそのまま撮影しています(使用映写機はベル&ハウエルのフィルモソニック498型)。

実写では中央部で白飛びが目立ち顔の肌の細かな陰影が消えてしまっています。ただし光量の落ちる周辺部は比較的しっかりと描写できていました。ランプを使うと光源となる中心がどうしても明るくなるためこういった質感になります。一方デジタルスキャンは四隅まで満遍なく安定しているものの暗い部分で潰れてしまい細部を拾えていない所があります。

またDEFA版8ミリではフィルムを送る穴(パーフォレーション)の上下まで映像が広がっています。実写時にこの部分は映写されないため、左側がトリミングされる形になり被写体が左に寄っていました。

本作を下敷きにしたヘルツォーク監督の『ノスフェラトゥ』(1979年)では吸血鬼と同時にやってくるペストの要素が強調されていました。古来から吸血鬼伝説と疫病への恐怖は連動してきたもので、本作にも公開の2年程前まで猛威を振るったスペイン熱の記憶が見え隠れしています。

[原題]
Nosferatu: Ende des Vampirs

[製作年]
1922

[IMDB]
Nosferatu – Eine Symphonie des Grauens

[Movie Walker]


[メーカー]
DEFA

[カタログナンバー]
247

[フォーマット]
Super8 白黒無声

アンドレ・マットーニ André Mattoni (1900-1985)

Andre-Mattoni

オーストリア出身。ムルナウ監督の『タルチュフ』(1925年)では遺言書から外され、映写技師に変装して悪だくみを暴いていく青年役者を小気味よく演じています。鉛筆書きのサインで1928年の一枚。

[IMDB]
nm0560410

[誕生日]
2月24日

[出身]
オーストリア

[コンディション]
B

エルナ・モレナ Erna Morena (1885 – 1962) 独

「ドイツ/オーストリア [Germany/Austria]」より

アスタ・ニールゼンに似た二三の性情を有して居るけれども、その表現力にかれに比してこれは婉曲であり、優弱であり、憂鬱である

一體モレナは彫像のごとき女である。彼女が精神の緊張を表現する時には、ただ震えるのであるけれどもその内からは云ひ知れぬ悲痛さが表れてくる。またモレナは貴族的なノーブルな婦人を表はすに
唯一のスターである。外面的にではなくて内面的にである。その美しい容貌の上に心の奥底に潜む美しい最後の秘密が時折靜かに表はれて來る様な感じがするこごたある。

「正直なレンズ 独逸キネマ界の五明星」田川秀雄・桐野葉二
『(活動花形改題)活動之世界』1921年7月号

1920年前後のドイツ映画で印象的な演技を見せた女優さん。

表現主義の過激な作風で知られる『朝から夜中まで』(1920年)の他、ムルナウ(『夜への歩み』)やライナール(『ネルヴェン』)監督の個性派作品にヒロイン役で登場。『フリードリッヒ大王』や『ウィリアム・テル』など歴史物でも憂いのある演技を披露しています。

[IMDB]
nm0603803

[出身]
ドイツ

[生年月日]
4月24日

[コンディション]
B

[メーカー]
Ross Verlag 3149/1

[撮影]
Debschitz-Kunowski

[サイズ]
8.8 × 13.8 cm.

リア・デ・プッティ Lya de Putti (1897- 1931)

パラマウントの「サタンの嘆き」と「神我に二十仙を賜ふ」、ファースト・ナショナルの「燃ゆる唇」ドイツ、ウフアの「ヴアリエテ」 – リア・ド・プテイの昭和二年はまことに華々しかつた。ド・プテイの美は、昨年一年間で最極限にまで世人に持て囃されるる到つたかの觀を呈した。だが、もちろん彼女としては「ヴアリエテ」の女の役に止めを刺す。あの爛れる樣な、ムツとする樣な、チクチクと神經に突きさゝる樣なド・プテイの「官能」はどうだ。(ユ社に移つてからの映畫は今年は間違いなく見る事が出來るだらう。)

『日本映画年鑑 昭和二年昭和三年 第四年版』
(朝日出版社、1928年4月)

1925年に公開されたドイツ映画『ヴァリエテ』で鮮烈な演技を見せたのがこの女優さんでした。

獣の匂いの漂うヤニングス、あどけなさと官能の混じりあったリア・デ・プッティの絡みはアメリカでも大きな話題を呼びました。

また彼女は初期のムルナウ作品にも登場しています。絵画指向の強いムルナウはリア・デ・プッティをむしろ「素材」として使い『ファントム』のもっとも夢幻的な場面に彼女を登場させていました。

[IMDb]
nm0211048

[出身]
ハンガリー

[誕生日]
1月10日

アウド・エゲーデ=ニッセン (1893 – 1974) Aud Egede-Nissen

1920年代前半~中頃にかけラング(『マブゼ博士』)、ムルナウ(『ファントム』)、ランプレヒト(『第5階級』)などドイツの名匠に好んで使われていた女優さん。北欧出身特有の透明感を持ちながら、病んだ女性や疲弊した女性像もしっかりと描ける力量の持ち主でした。

『マブゼ』の情婦ぶりがあまりに有名ですが、個人的には社会派メロドラマ『第5階級』での切ない演技が印象に残っています。

サインの書き方で絵葉書を斜めに横切ることが多いです。頭文字「A」に2通りあり、こちらは小文字のパターンになっています。

[IMDb]
nm0250790

[出身]
ノルウェー

[誕生日]
5月30日

カミルラ・ホルン Camilla Horn (1903 – 1996) 独

「ドイツ/オーストリア [Germany/Austria]」より

Camilla_Horn01-m

ムルナウ監督に見い出され『ファウスト』(1926年)のヒロイン役に抜擢されて知られるようになったのがカミルラ・ホルンでした。

正統派の美人女優として大きな期待を受けハリウッドに渡り『山の王者』(1929年、エルンスト・ルビッチ監督)に主演するも成功を収めることができずドイツに戻ります。以後、自国で90年代まで続く長いキャリアを築いていくことになります。

[Movie Walker]
カミルラ・ホルン

[IMDB]
nm0394806

[出身]
ドイツ

[誕生日]
4月25日

[コンディション]
B+

[メーカー]
Ross Verlag 3487/1

[サイズ]
13.7 × 8.8 cm.