1919 – 9.5mm 『百萬長者の娘ッ子』(ジョージ・アーチェインバウド監督、米) 【日本語字幕つき】

「9.5ミリ動画 05a 劇映画」より

マルジヨリイは氣まぐれな不思議な而して可愛いゝはすつぱな小娘でありました。それでこの娘の理想する男は今様の火の神様で鍛冶屋場の烈しい爐の上にある晩彼女に現はれたのであります。所が或る日、兄の監視を逃れるため、彼女は自動車の中へ輕率にも飛び込みました。と、其處には彼女を喜んだ顔つきで眺めてゐる一人の若い男が居りました。。

『パテーベビーフヰルム 解説書 No. 1』
(大橋善次郎編集・出版、1926年)

1910年代の雑誌で時々姿を見かける女優さんにジューン・キャプリスがいます。彼女が仏パテ社と契約を結んで主演した作品が『百萬長者の娘ッ子(ダムゼル・イン・ディストレス)』でした。

お金持ちのお嬢様が偶然出会った美青年と繰り広げる軽めの恋愛劇は(当時パテ社のスタジオがあった)ニューヨークでのロケ撮影。乗用車、タクシー、街並み、ファッションや髪型など時代の雰囲気を満喫できる作品となっています。

折角の機会ですので日本語の字幕もつけてみました。

[タイトル]
Mam’zelle Milliard

[原題]
A Damsel in Distress

[製作年]
1919年

[IMDB]
tt0010042

[メーカー]
仏パテ社

[仏パテ社カタログ番号]
739

[字幕]
仏語

[フォーマット]
9.5mm 10メートル×6本 仏語字幕 12476フレーム(約15分)

クリスチャン・シュレーダー Christian Schrøder (1869 – 1940) デンマーク

「国別サインリスト 北欧諸国 [Nordic Countries]」より

Christian Schrøder Autograph/autogramm/autographeChristian Schrøder in Pat und Patachon

先日北欧物のサインをまとめ買いした中から一枚。デンマーク出身の男優クリスチャン・シュレーダー氏によるもので、1937年3月29日の日付が付されていました。

1910年代初頭、北欧映画の創始期から活躍し、舞台と並行しながら多くの短編喜劇映画の主役を務めました。20年代になると大ヒットシリーズ「フュー・オ・ビー」常連となります。「二重あごで恰幅の良いおじさん」役を得意とし、しばしば名女優スティナ・ベウとペアを組みながら作品にユーモアと温かみを加えていきました。

[IMDb]
nm0775725

[出身]
デンマーク(ミゼルファート)

[誕生日]
7月13日

[データ]
[1937年3月29日、リーフカット・オートグラフ]

[サイズ]
16.8 × 10.8cm

1917 – 9.5mm 『移民』(Bネガ 仏パテ社版 1929年初頭)

「9.5ミリ動画 05a 劇映画」より

1917 - 9.5mm Immigrant (Chaplin 1929 Nega-B-based French Pathé Print)1917-immigrant-fr-and-uk
『移民』を含むミューチュアル社期(1916-17年)のチャップリン短編は国内(USA)向けと国外向けの二つのネガが準備されていたことが知られています。二種類のネガは異なったカメラで撮影されたもので、同一場面でもアングルなどが微妙に異なっていたります。

1920年代末に仏パテ社と英パテスコープ社から発売されていた9.5mm版はBネガを元にしています。こちらは仏パテ版。英パテスコープとも異なっており、

1)仏語は編集での切り詰めが目立ち、英語版の流れの方がオリジナルに近い
2)仏語版はややコントラストが強い
3)イギリス版はフィルムが右に寄る形でプリントされており、映写時には右端が切れる

などの違いを挙げることができます。

1917-immigrant-nega-a-based-dvd

camera

Aネガを元にしたDVDと比べてみるとアングルの違いがはっきりわかります。図示したようにBネガを担当するカメラが左に置かれています。

他の場面からも様々な発見があるので、別記事にて分析をまとめていく予定です。

1953 – スーパー 8 『珍説忠臣蔵』(古川ロッパ・柳家金語楼・エンタツ&アチャコ・田端義夫・堺俊二ほか)

「8ミリ 劇映画」より

1953年(昭和28年)に公開された忠臣蔵のパロディ映画。吉良上野介が影武者を雇ったり、腰元による長刀隊が登場するなどオリジナルの設定が幾つか組みこまれています。

ドタバタ、シチュエーションの喜劇、アクション、しゃべくり、ナンセンス、ミュージカルなどを組み合わせておりますが、キレッキレという感じはせずまったりしたお笑いの時空間が流れていきます。

ほとんどのキャストが脚本と監督の下で動いているのとは対照的に、エンタツ&アチャコが登場すると二人の独壇場となり空気が変わります。一時代を築いただけはある、と唸らせる貫禄がありました

[原題]
珍説忠臣蔵

[製作年]
1953年

[Movie Walker]
mv23450

[IMDB]

[JMDB]
http://www.jmdb.ne.jp/1953/cc000060.htm

[メーカー]
東宝株式会社/東宝映像株式会社

[フォーマット]
Super 8mm 300ft 24コマ/秒(光学録音/カセット付き)

1912 – Normal 8 『コレッティを探せ』(1912年、マックス・マック監督)

1912年は映画産業が軌道に乗り始め、あちこちに劇場が作られて盛り上がっていた時期です。

『コレッティを探せ』はこの時期のドイツでヒットした作品で、「探偵コレッティを48時間以内に捕まえることができたら100万マルク進呈!」の広告に人々が踊らされていく様子をコミカルに描いています。

定番のドタバタ追跡から女装まで様々な要素をコンパクトに詰めこみ、ベルリン市街地での撮影で都市風景をうまく取りこむなど、確かに今見ても面白い一作ではないかと思われます。

[タイトル]
Wo ist Coletti?

[原題]
Wo ist Coletti?

[製作年]
1912年

[IMDB]
tt0003565

[メーカー]
独DEFA社

[カタログ番号]
222

[フォーマット]
ノーマル8mm 60m(無声)

『シユーケツトと空の勇者』(1920年、シャルル・プランス監督)

「9.5ミリ動画 05a 劇映画」より

才智のひしめくこの一篇はまことに面白い間違ひの連續であります。一人の空の勇士がフオルカルキエド シストロンでクララトロンペツト孃と許可を得て出會つたのであります。それで二人はその輝くスターのシユーケツト孃とはからず同じホテルへ泊り合はせたのであります。で、空の勇士は身分を隠さうと思つてゐました。所が町の人のル ミノアがシユーケツト孃の心を得るがため勇士の制服をつけて彼女を誘惑し而してその勝利をほしいまゝにして居つたのであります。

『パテーベビーフヰルム 解説書 No. 1』
(大橋善次郎編集・出版、1926年)

第一次大戦を背景とした恋愛コメディ物。

仏空軍のエースパイロットが休暇中に客車内で出会った女性と恋に落ち密会を始め、人目につかないよう軍服をホテルに預けます。その服をひょんなことから手に入れたのが冴えない主人公(シャルル・プランス)。まんまと空軍エースに成りすまし、片思いしていた舞台の歌姫(ジャンヌ・マルケン)にアプローチをかけていきます。

大戦中に「リガダン」の芸名で人気のあった喜劇役者シャルル・プランスの手によるもので、テンポの良い展開で見せてくれます。歌姫を演じているジャンヌ・マルケンは後年ルノワール監督の『ピクニック』で母親役を演じるなど興味深いキャリアを積み上げていきます。

[タイトル]
Chouquette et son as

[原題]
Chouquette et son as

[製作年]
1920年

[IMDB]
tt0193815

[メーカー]
仏パテ社

[カタログ番号]
681

[フォーマット]
9.5mm (ノッチ有) 10m *8リール

1921 – 9.5mm『ロヴェルのお嬢さん』 (ジャン・ケム監督)

ジュヌヴィエーヴ・フェリクス主演によるホームコメディ。人間嫌いで郊外で姉と生活している主人公(ジョン・ウォルム)と、隣家の娘(フェリクス)の恋愛模様に焦点を当てています。

テンポが悪く物語としては凡作。それでも1)冒頭に挿入されたジャズ演奏の場面が時代表現として興味深く、2)戸外ロケ撮影を重視し、木漏れ日など繊細な描写が成功しているなど見るべき点があります。

また、主人公の姉役で登場する女優さんの表情が多彩で飽きません。彼女はシャルロット・バルビエ=クラウスといって名優アンリ・クラウス氏の奥さんです。若いころはバルビエ名義で小さな舞台で活躍、デュヴィヴィエの名作映画『にんじん』(1925年版)でも意地悪な母親役を好演しています。

[タイトル]
Miss Rovel

[原題]
Miss Rovel

[製作年]
1921年

[IMDB]
tt0011471

[メーカー]
仏パテ社