「綺乃 九五式」 開発記録00 – 第一回スキャニングテスト

回路系のチェックが一通り完了したため、実際にテレシネを試してみました。

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2019年9月15日9時半より実施。まずはラズベリーパイとパソコンを立ち上げカメラの接続確認。LEDを点け、ピントとカメラ位置を調整します。カメラの絞りはF=8。今回ISOと露出時間はカメラ任せで行いました。画像はISO50、露出時間は1/100~1/150となっていました。最終版ではマニュアルで指定できるようにします。

パソコンからラズパイに接続、モーターを始動させるプログラム(PlatformIO)を起動。速度は2秒で1回転に設定。次いでラズパイ上でリードスイッチのプログラムを立ち上げ、オンにします。モーターに接続したスイッチを入れるとフィルムが動き始め、タイミングプーリーに設置した磁石がトリガーとなってラズパイカメラに撮影の指示を出し始めました。

250枚ほどの画像を撮影したところで終了。20分かかりました。使用フィルムは「The Machaon Butterfly(LE PAPILLON MACHAON)」。パテベビーフィルムの適正再生速度は16コマ毎秒とされていますが、実際はもう少し遅かったと思われ今回は13コマ毎秒で動画を作っています。

初回だとこの程度かな、のレベルです。解像度の設定を間違えたため上下見切れる形になっています。字幕部を見るとピントはそこそこあっていると思うのですが、動画部分、特に四隅に甘い部分があります。映写機のフィルム送りがしっかりしているため、上下左右に揺れたりうねる場面は抑えることができました。

ユーザーインターフェイスも出来ておらず、リアルタイムでモニタリングができないのが難点。この辺りは今後修正・追加していく予定です。

「綺乃 九五式」開発記録 04e – レンズの違いがもたらす画質の差異について

Metropolis 9.5mm Trailer Sample (Tamron50mm)
タムロン21H 50mm + 15mm接写リング F=4、0.43倍での撮影)
ランプはLED10Wで6000K、ディフューザーは光源寄り
明るさとコントラストをやや強めに加工
2019年9月14日
Metropolis 9.5mm Trailer Sample (VS-MC35)
ヴァイタル・ヴィジョン VS-MC35 35mm
(0.26x~0.65xマクロレンズ、絞りは開放固定、約0.4倍での撮影)
ランプはLED10Wで6000K、ディフューザーはフィルム寄り
2019年9月3日

カメラ及びレンズの設定についても幾つかテストをしてみました。

上の写真が9月14日のタムロン50mm+接写リングでの試写。絞りを変えたりLED電球を換えたり(6000k/3000k)しながら撮った一枚です。下は9月3日にヴァイタル・ヴィジョン社の35mmマクロレンズで撮ったもの。同一フレームではありませんが表現の個性は出ています。

【タムロン21H 50mm + 15mm接写リング(F=8)】
・シャープな画像(文字の輪郭もはっきり出ている)
・粒子感が強く、またフィルム表面のゴミや傷を拾いやすい
・これ以上絞りを開くとピントの合わない部分が出てくる。またこれ以上絞ると解像度が落ちてピンボケした感じになる

【ヴァイタル・ヴィジョンVS-MC35(F=開放)】
・ソフトな画像
・白がやや強めで、細かな陰影が飛んでいる
・ピンボケと滲み感あり(絞りは開放固定でこれ以上絞れない)

プリクラやスマホアプリの美白加工に馴れた目にはソフトなVS-MC35が綺麗に見えるかも。でもこれは8ミリ白黒の質感ですよね。モノクロ9.5ミリの細密さに忠実なのはタムロン21Hだと思います。

VS-MC35も決して悪い訳ではないので次回連続撮影~動画作成までテストをした時にもう一度比べてみます。

「綺乃 九五式」開発記録 07a – リードスイッチと磁石で撮影トリガーを作る

完全自作派のテレシネ機では「撮影のシャッターを押す」タイミングはプログラミング上の処理に属しています。フィルム送りを済ませ、撮影範囲が確定した段階でゴーサインがカメラ側に送られていきます。

映写機改造型では話が変わってきます。映写機の一部(ギア)とフィルムの位置が連動し、それにあわせて「シャッターを押すタイミングが決まる」訳です。そのため何らかの形で映写機/ギアに連動した物理的な「撮影トリガー」を組みこむ必要が出てきます。

ラズパイ・フィルム・キャプチャーなどでは「リードスイッチ」が使用されていました。磁場を利用した非接触タイプのスイッチで、身近なところでは磁石で開閉を感知する装置に組みこまれています。

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映写機のホイール(今回は置き換えたタイミングプーリー)の端に磁石(灰色)をひとつ取り付けます。磁石が離れている間はスイッチがオフになっていて、磁石が近づくと磁力で二つの端子がくっついてオンになります。このアナログ信号をデジタル化してラズベリーパイに取りこんでいきます。

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動作確認を行ってみました。モーターをゆっくり回転させ2秒強で一回転、一つのコマを撮影していきます。すると下の形で連続撮影を行うことができました。

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カメラを設置する微動ステージをねじで固定していなかったため、モーターの振動でカメラが少しずつ左に寄ってしまったのが失敗でした。リードスイッチが計画通りに動いてくれたので良しとします。

「綺乃 九五式」開発記録 05c – 仮組み&モーター試運転

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この一週間で大まかな配置を決定して仮組みを行いました。土台は40×30センチで映写機、モーター、モーター用変圧器、Arduino、カメラ&カメラマウント用ステージ、ラズベリーパイを置くとほぼ一杯になります。

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この後カメラマウントを外し、フィルムをセットした状態でモーターのテストをしてみました。重たいフィルムは避けて小さな60m用リールを装填。ゆっくりフィルムが送られているのが分かるかと思います。

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フィルムが狭い場所を抜けていく部分が見つかったので修正しました。

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「綺乃 九五式」開発記録 04d – ディフューザーの作成

室内でストロボ・フラッシュ撮影を行う際、光を均一に対象に当てるため「ディフューザー」を使います。白い半透明のシートで、光源からの距離によって効果が変わるためカメラマンのこだわりポイントの一つになっています。

フィルムスキャナー自作派の一部にも同様の発想が見られます。

LED電球とフィルムの間に噛ませる形で、そこまで大きなものは必要ではありません。光源に近いとディフューザーの効果は弱くフィルム表面を忠実に照らすことができますが、例えば細かなごみや小さな傷まではっきり撮影されてしまいます。

一方でディフューザーをフィルムに寄せるとややソフトフォーカスした感じとなり、埃や傷をある程度隠すことができる一定の効果を見こむことができます。

フィルム表面の傷などは撮影後の画像修正で消すこともできます。ただフィルムスキャニングでは画像の枚数が多くなるため、それなら先に消してしまった方が良い、と考える訳です。

今回使う小さなサイズではすりガラスが好んで用いられています。

すりガラス型ディフューザー [エドモンド・オプティクス] 25×25ミリ 2300円

すりガラス [Plexiglas] 30×20ミリ 75人民元(1100円位)

必ずしもすりガラスである必要はなく乳白色で透光性のある素材なら代用もできるそうで:

・アクリル電飾看板に使われている乳白アクリル板を転用する
・白い紙を挟む

など様々な代案が試されていました。
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独マティウス・メルヒャー氏の自作テレシネ機で使用された
紙製ディフューザー(上)とサンプル動画(下)

乳白色のアクリル板であれば身の回りにも沢山ありそうです。百均で売られているアクリル製トレーも使えそう。今回は無印のアクリルボックスの仕切り壁を加工してディフューザー代わりにしてみました。

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タムロン50mmレンズ用のマウントがまだ届いていないため35mmのサブレンズで撮影したものです。画質的にまだまだですが光の拡散としてはこの程度で十分かなと。すりガラスも購入してみて比べてみたいと思っています。

[テスト] パテベビー映写機をArduino互換機×ステッピングモーターで動かす

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ステッピングモータのテストを兼ね、手回し型のパテベビー映写機にステッピングモーターを載せて動かしてみました。

準備したのはマイコンボード+ステッピングモーター+モータードライバのセット。モーターを動かす12V用の電源とジャンパー線は自前の物を使用しています。

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マイコンボードは中国製Arduino Uno互換機。USBポートの仕様(CH340)がオリジナルと異なっておりパソコンに認識されないため、「江苏沁恒股份有限公司」のHPからドライバ(CH340)をダウンロードしインストール。

デバイスマネージャーで確認すると「COM4」として認識されていました(手持ちの純正ArduinoはCOM3で使用)。

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PC上でArduino IDEを開いてツールからシリアルポート設定へと移動し、「COM4 (Arduino/Genuino Uno)」を選択すると動くようになりました。

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Arduino互換機の3番ピンを「PUL (パルス)」、4番ピンを「DIR(向き)」、6番を「ENA」に指定しテストプログラムを実行。

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モーターの固定にはパテ社純正のモーター用金具を使用(2か所ドリルで穴を開けました)。金属製ベルト2本を使うのが正式な繋ぎ方ですが時折空転を見せました。モーターの位置をずらし本体に直でベルトをつないでいます。

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「綺乃 九五式」開発記録 03c – ニッツォ映写機の加工(シャッター羽根とベルトホイールの取り外し)

映写機を改造してフィルムスキャナーに転用する際の難関の一つがシャッター羽根の取り外しです。

16~24コマ毎秒の映写ではちらつき(フリッカー)が発生するためシャッター羽根で明暗を交互させ、三枚羽根の場合は毎秒48~72回にまで明滅の頻度を上げると人の目が「ちらつきのない流れる映像」と認識するようになります。

テレシネ時に羽根が映りこんでしまうのは困ります。自力で取り外さなくてはいけません。

戦後の映写機のように羽根がしっかり組みこまれていて取り外しの効かないタイプだったり、手の届きにくい位置にあったりだと苦労します。ニッツォHS型はその点作りがシンプルで作業しやすかったです。

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1) 映写機パーツの背面。中にシャッター羽根が格納されています。

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2) 左上ネジを緩めるとカバーが20度ほど開きます。これ以上は開かない仕様でした。

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3) カバーの付け根にある二つのビスを外します。

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4) シャッター羽根がむき出しになります。

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5) 固定しているビスを外していきます。

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6) シャッター羽根を外すことができました。細い管が通っていて、注油した油がギアに流れるようになっています。油が届かない部分もあったため、清掃と注油を行います。

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7) 外した羽根は個別のシリアル入り。また何かの機会に戻す可能性があるのでビスと一緒に小袋に入れて保管します。

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次に金属製ベルトホイールを交換していきます。

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モーターからの動力を本体に伝える部分です。小さなマイナスネジで留めてあるので外していきます。

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外れました…が、ひどく錆びていて用意した5ミリ軸用の金具がはまりません。

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軸全体を研磨。

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幅11ミリ、20歯、軸径5ミリの金具(タイミングプーリー)を固定します。

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仮置きした状態。ステッピングモーターにも同サイズのタイミングプーリーを取り付けてあります。両者をベルト周50センチの歯付ゴムベルト(タイミングベルト)でつなげる予定です。