1929年1月 – 9.5mm 個人撮影動画『高浜にて 昭和4年1月(1)』 廣瀬商店の酒造り

フィルム館・9.5ミリ (個人撮影動画・日本) より

At Takahama, January 1929 No.1
9.5mm Japanese Home Movie

2023年8月、戦前期の9.5ミリフィルム26本組のセットを入手しました。関東在住のアマチュア撮影者が記録したもので、スポーツ関連の動画(水泳、ラグビー、スケート、スキー、登山)を多く含んでいます。確認できたかぎり一番古いフィルムは『高浜にて』と題された1929年撮影の3本組でした。このうち一本目をスキャンし内容を確認していきます。

フィルム前半では、蔵の前で複数の人物を撮影しています。

敷地の一角に積まれた米俵。

中盤、若い男性がおどけた表情を見せながら米俵を持ち上げています。袢纏の文字が読めそうですよね。右列は「○白菊醸造元」、左列は「○瀨本店」…。左列の一番最初の文字が判読できなかったのですが、別フィルム( 『昭和4年学生水上競技 於玉川プール』 )の最後に鉄筆手書きの「広瀬」とあったのをヒントにしていきます。「高浜」で酒の「醸造」を営む「広瀬本店」で撮影されたフィルムではないか…の予測を立てました。

茨城県石岡市高浜で酒造業を営む廣瀬商店さん(https://shiragiku-sake.jp/)でした。創業は1805年(文化2年)、「白菊」で知られたお店で1935年(昭和10年)に現在の「合同会社廣瀬商店」の形になったそうです。

動画後半は酒造の様子を複数の角度で捉えています。

また動画には酒造りに関わる作業も記録されていました。上は「米刺し」を使って米俵の米を抜き出し品質をチェックしている様子。

手にした何かを置いている、あるいは撒いて混ぜている作業をしています。

ちなみに1928年の『昭和3年版 大日本商工録』には白菊の醸造元として「廣瀬慶之助」氏の名が登録されていました。今回入手した動画群はこの廣瀬氏の親族に当たる方の撮影と思われます。