フィルム館・9.5ミリ (個人撮影動画・日本) より
(イ)下馬評 日本水泳界の華と謳はれる學生水上競技大會も、從來早大チームの勢力が餘りに大きかつたので、學校單位の勝敗は問題でなく、ただニ三優秀選手の白熱戰に興味がかかつてゐたにすぎなかつた。だが本年は早大の牙城に肉薄する從來にない充實せる明大チームがあつて、その健闘に興味がつながれ、初めて對抗競技らしい注目を惹いた。[…]
(ロ) 明大の覇業成る日 大會は九月十四日、十五日兩日に亙って玉川プールで擧行された。明大の覇業は遂に成つた。
『昭和四年史』
(年史刊行会編輯部編 年史刊行会、1930年)
1929年9月に玉川プールで開催された学生水上競技大会(インカレ水泳)を記録した20メートル物。早稲田大学一強の時代が続いていた中、明治大学が7年ぶりに優勝した年に当たるそうです。
フィルムの前半は選手たちの泳ぐ姿を撮影した場面が中心。




中盤、スタッフあるいはOBと思しき帽子姿の人物が映し出されています。






後半、「S.P.U.」のマークをつけた選手たちが記念撮影。S.P.U.(St. Paul’s University)は立教大学の異称だそうです。選手たちとの距離感を見ると顔見知りの感じですよね。撮影者さんがOBだった、あるいはご家族(息子さん)がこの水泳部に所属していたかどちらかではないでしょうか。
ちなみに昭和4年度の学生水上競技は明治大学(72ポイント)と早稲田大学(69ポイント)の争いとなりました。立教大は50メートルで松浦氏が優勝、200メートル平泳ぎで中村氏が3位を獲得し19ポイントで大学別4位の成績を収めています。




プールの両サイドをぎっしり埋めた観客の姿も捉えられています。


フィルム終了後、何も映っていない透明部分に尖ったもので「広瀬」と記されていました。撮影者が鉄筆でサインをしたのではないかの予測は後に正しいと分かりました。


