映画史の館・デンマーク & 情報館・DVD より
2007年にデンマーク映画協会から発売された初期ドキュメンタリー映像のコンピレーションDVD。70篇が収録されており、大きく三つの塊に分かれます。
1)デンマーク記録映画のパイオニア、ピーター・エルフェルト(Peter Elfelt)作品 20編
2)ノルディスク映画社が残した記録動画 31編
3)ジャーナリスト、アンカー・キルケビー(Anker Kirkeby)氏旧蔵動画 19編
デンマーク映画界の勃興期に活動していたエルフェルトの足跡を追いつつ、1913年にアンカー・キルケビー主導で創設されたデンマーク初のメディア・アーカイヴ「国立歴史映像&音声アーカイヴ(The National Archive for Historical Films and Voices)」の動きを俯瞰した内容になっています。


「05: 南イタリアの民族舞踏”ナポリ”」(1903年)ピーター・エルフェルト


「29: ヤコブ・エレハマーによる初の動力飛行テスト」(1907年)ノルディスク映画社


「45: 作家ビョルンスティエルネ・ビョルンソン葬送」(1910年)ノルディスク映画社





「66: 駅馬車の最終運航」(1913年)アンカー・キルケビー旧蔵動画
内政(特にデンマーク王家の動向)に焦点を当てた映像が多いのですが、文化・大衆芸能(ダンス、絵画、演劇)、産業(農業)、技術革新、スポーツを扱った動画も散見され、20世紀初頭の一社会を多角的な映像群で辿り直すことができるようになっていました。
なお、当時盛り上がり始めていた映画産業を扱った動画は含まれておりません。しかしながら42番目の動画「クック船長の北極到達」には興味深い場面が含まれています。
人類で初めて北極点に到達したとされるフレデリック・クック船長がコペンハーゲンに寄港した際の記録動画(1909年9月5日)。ピアリーから疑義が出る直前の映像です。映像の一画にニット帽姿、メモ帳を手にした青年記者の姿を見て取れます。
記者時代のカール・テオドア・ドライヤー監督です。当時20歳、後に自分が映像を撮る側に回るとは想像していなかった時期の貴重な動画です。
ちなみにクック船長が北極点到達に使用し、ドライヤーが記者として訪れた蒸気船の名前が「ハンス・エゲーデ号(Hans Egede)」。本サイトの名称はこの動画を下敷きにしたもので、無名時代の若きドライヤー監督へのオマージュが含まれています。






