9.5ミリフィルム&パテベビー関連資料 より
1925年に活動を開始、29~30年頃に活動を停止した米パテックス社の9.5ミリフィルムカタログ。現在確認できている限りでは1926年から29年まで4冊の総合フィルムカタログが公刊されています。この内1926年度版と27年度版はデジタル化されておりオンラインで閲覧およびダウンロード可能です。
今回、1927年度版と29年度版の二冊を入手しました。まずは前者から。サイズは縦22.5 × 横10センチの変則な縦長。ページ数は64で臙脂色基調の表紙を開くと定価改定を告げる紙片が添付されていきす。題字の裏ページにはおすすめ作品が25作掲載されていました。




米パテックス社のフィルム管理の特徴は、カテゴリーごとの連番製を採用した点にあります。動物(アニマル)に関連した作品群を「A」、産業・ビジネス関連を「B」、喜劇(コメディー)を「C」、長編ドラマを「D」、運動・スポーツをエクセサイズと見て「E」…旅行・紀行・地域産業などをトラベルとみなし「T」に割り当てるなど、アルファベットの頭文字を生かして直感的に分かりやすい区分となっています。
当時人気があったのが「A」「C」「T」の3カテゴリーでフィルムの現存も比較的多く確認されています。長編ドラマ(「D」)は巻数が増えるためか売り上げが伸びず、作品はあまり残っていないのが現状だったりします。
1926~27年頃のドイツや日本で9.5ミリフィルムの独自コンテンツ提供はまだ本格化しておらず、合衆国はフランスに次ぐ2番目の9.5ミリ小型映画大国の位置を占めていました。16ミリ規格に敗北し短期間で姿を消したものの、米パテックス社のオリジナルコンテンツの充実は目を見張るものがあり現在では忘れ去られた興味深い佳作・秀作が多く眠っています。


