1923 – 9.5mm 『キアゲハ』 仏パテ社ステンシルカラー・プリント

フィルム館・9.5ミリ (仏パテ社) より

Papillon Machaon
1923 French Pathé 9.5mm Stencil Colour Print

仏パテ社がカタログの最初期に出していた彩色版の9.5ミリフィルムで、カタログ番号51番にあたる『キアゲハ』です。ステンシルカラーと呼ばれる手法で色を付けたもので、同時期の2ストリップカラーや後年のテクニカラーと異なる独特の発色をします。

パテ社は1910年代から手彩色の技術力で知られていました。同社工場には彩色用の広い作業場が設置されており、数列にずらりと並んだ机にバイトの女性たちが向かいあって座り一コマ一コマ手で彩色を施していたのです。この技術は後年に引き継がれ、『戀のスルタン』(La Sultane de l’amour、1919年、ユーチューブにあります)や『モンソローの奥方』(La Dame de Monsoreau、1923年、これもあります)といった劇場公開作品は日本を含めた世界中の観客を魅了していきました。

このノウハウを生かさない手はなく9.5ミリフィルムを市販する際に一部カタログに彩色版が採用されています。英グラハム・ニューマン氏よると20タイトル程あったそうで、海外ではこの彩色版を専門に集めているコレクターもいる程です。