映写機用レンズの肖像より
| レンズ名 | メーカー名 | 製造国 | 焦点距離 | F値 | 使用映写機 | 製作時期 | レンズタイプ | レンズ構成 | 長さ(鏡胴含む) | 外径(鏡胴含む) |
| エクラA型9.5ミリ映写機用レンズ(無銘) | 不明 | 日本 | 不明 | 不明 | エクラA型9.5ミリ映写機 | 1930年代前半 | ペッツバール型 | 2群4枚 | 59.5 | 30.0 |
| 前玉タイプ | 前玉外径 | 前玉厚み | スペーサー(間隔環) | 中玉タイプ | 中玉外径 | 中玉厚み | スペーサー(間隔環) | 後玉タイプ | 後玉外径 | 後玉厚み |
| 凸凹ダブレット | 19.0 | 10.0 | – | メニスカス | 19.0 | 4.0 | – | 凹 | 19.0 | 5.0 |
エクラ映写機に装備されていたレンズにはメーカー名やスペックの記載がありませんでした。同時期に流通していたアルマ映写機用のレンズも同様で、この種の詳細不明の名無しレンズは紹介される機会がありません。今回ミラーレスに付け替えテスト撮影を行い、その後9.5ミリフィルムの描写能力をチェックしてみました。
充分な被写体深度があってピントのあわせやすいレンズです。一部に二線ボケが出ているもののそこまでうるさい感じはしません。背景の点光源を拾って小ぶりなバブルボケが発生、画面全体に渡って綺麗な円になっています。周辺の光量低下は少なくレンズの外周に近い部分のみわずかに暗くなっています。
このレンズで9.5ミリフィルムを実写すると上のようなアウトプットになります。1930年代ということを考えると並以上の描写能力。画面の四隅とレンズ右端に近い部分で光量が低下。全体的に歪みが少なく、流れも最小限に抑えている感じです。
中央にピントをあわせその個所の解像度だけを見ていくなら他に優秀なレンズは幾らでもあると思います。このレンズはそうではなく、光量低下や歪みによる画質のムラを抑制して満遍なく綺麗に映す発想です。映写機の試写でもピントがあわせやすい印象を受けました。
フィルムの情報を出来るかぎり失わずに投影する…映写の基本に忠実な一本で、無銘ではあっても実際は名の知れた日本の光学機器メーカーに外注したと見ています。



