映写機用レンズの肖像 [11]:仏アンジェニユー社 映写機用レンズ f=25 1:1.5

映写機用レンズの肖像より

P. Angenieux Paris F=25mm 1:1.5 Projection Lens

仏アンジェニユー社の映写機レンズについては、以前ウルティエ社のモノフィルム映写機についていたf=35ミリを紹介しています。コーティングされた戦後のレンズで、9.5ミリフィルムの映写に使用されるレンズとしては最高峰と言ってよい完成度でした。今回はその弟分に当たるf=25ミリ、8ミリ映写機に対応した一本です。

f=25は焦点距離が短い事もあって、これまで使っていた自作マウントでは対応できませんでした。3Dプリンタを引っ張り出してきて新たに補助パーツを作製。

レンズ鏡胴の径(33mm)が収まるリング構造で、根元をマイクロフォーサーズで使用されるバヨネット型にデザイン。3Dプリンタの精度が良くないため内径はヤスリを使って出しました。きつすぎず、ゆるすぎずの加減が難しく、都度レンズをあわせながら微調整。完成したものをミラーレスカメラにセットしました。

同時に紹介しているソン・ベルティオのシノール f=25ミリと似た感じの描写。暖色系の発色が僅かに強く二線ボケが目立つ程度の違いで、背景は優しく滲む感じ。

屋外でのテスト撮影より。やはりシノール25ミリと同程度の樽型の歪曲収差が見られ、レンズの外周付近で渦になっています。f=35の圧倒的な描写力こそありませんが8ミリ映写機用としては十分な力量。