映写機館 & 撮影機館 より
1930年代、9.5ミリ小型映画の世界でフィルムの撮影機能と上映機能を一台の機械にまとめてしまう「カムジェクター(映写撮影両用機)」の市販が行われていました。中心となっていたのが英国メーカーで、パテ社系の撮影機と映写機が支配的なシェアを占めていたイギリス市場でカンプロ(Campro)とミダス(Midas)という二つの機種が一定の支持を集めています。昨年末、ミダスを入手することができました。
レンズにはテイラー・ホブソン社のカム・アナスティグマット f/2.5を採用。当時このサイズの映写機に標準装備された英国製レンズとしては最高峰の一本で、品質に対するメーカー側のこだわりを感じさせます。
外観は仏パテ社のモトリクス撮影機をスリム化した感じ。ただしよく見るとフィルム装填用のケースが背後に外付けになっていたり、その上側にコンセント部があったりなど一般の9.5ミリ動画カメラとは異なった仕様を見て取れます。


本体は左右二つに分離可能。片側はモトリクス同様モーター部に当たっているのですが、モトリクスがゼンマイ式になっていて正面から見て左側に設置されているのに対し、ミダスでは電池ケース(3ボルト×2本)が併設されており正面から見て向かって右側に配置されています。



モーター部ではない、レンズのある側を見ていきます。この部分は蝶番をつかって前面部を90度押し倒してL字型にすることができます。
先に触れたようにフィルムケースが背後に外付けになっています。フィルム送りと受けが隣で並ぶ形になっており、フィルムは機体内で下から上へと掻き上げられていき、撮影が完了すると上から下に引き下げられ受け用のケースに戻っていきます。また機体内には映写用のランプが置かれています。背後にあったコンセントはこのランプにつながっているものです。
カメラの側面にはハンドクランクがあって撮影時には手回しとモーター式の切り替えが可能。映写時も同様で手回しで映写することもモーターで動かすこともできる仕組みになっているようです。
スタイリッシュな躯体によくこれだけの機能をまとめたなと舌を巻くレベルの完成度。2月の連休中に一度実写テストを行ってみたいと思っています。











