1927 – 9.5mm 『大正天皇御大喪儀』 1927年頃 伴野商店プリント

フィルム館・9.5ミリ (伴野商店) より

The Funeral of the Emperor Taisho
1927 Japanese Banno Co. 9.5mm Print

伴野商店製9.5ミリフィルムのカタログ番号34番として発売された80メートル物(20m×4本)の皇室関連動画。以前に『雪の樺太』『當世新所帯』を紹介した9.5ミリフィルムコレクターの旧蔵品より。1929年頃のリストからは削除されており比較的早くに絶版となっていたタイトルです。本来は4巻物ですが3巻目の欠けた状態で入手。

大正天皇葬儀に関しては、国立映画アーカイヴがロシアに保存されていた35ミリフィルムを収蔵した記録(「ロシア・ゴスフィルモフォンドの日本映画」pdf)があります。また京都のおもちゃ映画ミュージアムが伴野9.5ミリ版を所蔵、2015年のワークショップで上映が行われています。

第1巻、前半の一分程は葬儀会場となった新宿御苑葬場殿の設営風景から始まります。

大正天皇が亡くなったのが大正15年(1926年)12月24日。正月休みを挟んで1月半ばの短期間に葬場殿や、霊柩列車を停めるための新宿御苑仮停車場の建設が急ピッチで進められており、合間に霊柩列車の試運転。短いながら動画にもその様子が記録されていました。

弔旗の掲げられた街並み、通りに集まる群衆の姿など葬儀当日の様子。

1927年2月7日午後6時、号砲と共に葬儀が始まります。フィルムはここで2巻目に切り替わり、音楽隊によって先導された葬列の姿を順に捉えていきます。

榊が通過し、式部長官と宮内大臣が進んでいった後に遺体を納めた車が登場。

第2巻がここで終了。第3巻が欠けているためこの後の動画の構成が分からないのですが、第4巻に関しては別アングル(おそらく異なった撮影場所)から葬列の模様を記録していました。松明の短い映像で動画は終了。

伴野自社製のフィルムリストで皇室カテゴリーはトップに置かれていました。このカテゴリーで初のリリースとなったのが『大正天皇御大喪儀』でした。1928年の『輝く昭和聖代御大禮の盛儀』、1930年の『復興帝都御巡幸』に続いていく流れで、日本の9.5ミリ小型フィルム文化が大正から昭和への切り替わりと軌を一にて誕生し、時代の変貌を一つずつ追っていた軌跡となっています。