フィルム館・9.5ミリ (個人撮影動画・日本) より
以前『都名所めぐり』・『都名所めぐり 2』・『西方寺子供会』を紹介した京都在住の9.5ミリ愛好家・浅井氏による個人撮影動画群より、親族による花見を記録した1本。
他のフィルム同様、タイトルとロゴ(本人のイニシャル「AJ」を図案化した物)で始まり、イラスト入りのタイトルが表示されます。イラストには桜の花びらが描かれており花見の様子だと分かります。またタイトルにある「御室(おむろ)」は京都西北部の一角を差すこともあるのですが、今回のフィルムに関して言えば京都の観桜スポットのひとつである仁和寺の異称として使われています。
フィルムの長さは10メートル。フレーム数は1400弱で、13fpsで再生すると1分47秒になりました。
動画の前半は境内で花見をしている一行を幾度か角度を変えて捉えた様子。背景を見ると他にも多くの花見客が訪れているのが分かりますし、一部ではお堂(観音堂と思われます)が写りこんでいます。
動画の中ほどでは全員が揃って記念撮影。50フレーム(4秒)程の短いシークエンス。
興味深いことに、ほぼ全員が身動き一つしていません。動画カメラなので別に動いたって良いんですよね。でもこの時代の人たちはまだ「動画を撮られる」行為に慣れておらず、静止画用カメラと同じ感覚で構えてしまい、動きを止め、息を止めてカメラを見つめています。
その中で、前列右端にいる赤ん坊を抱えた女性(『都名所めぐり』にも登場していた浅井氏夫人です)だけが嬉しそうな表情で子供を高い高いして動きを見せています。この辺のコントラストも相まって、素朴さと厳かさの入り混じった素敵な集合動画になっていました。
動画後半は花見がお開きになった後、バラバラに散会していく親族の動きを追っています。竹垣で囲われた細い小道を歩いていく面々をやや高い位置から捉えたショットでフィルムは終了。家族・親族の記録を残しつつ、全体が単調にならないようアングルや流れに工夫を凝らし、ハレの一日の空気感を閉じこめた優れた映像作品でした。
















