ウジェーヌ・シルヴァン (Eugène Silvain 1851 – 1930) 仏

「フランス [France]」より

「シルヴァン」の芸名で長いキャリアを築いた舞台俳優さんですが、出演映画数は多くありません。ただしその出演リストには『裁かるるジャンヌ』(1928年)が含まれていました。

同作は監督のドライヤーと主演ファルコネッティについて語られがちです。視点を変え、ジャンヌを火刑に追いこむ異端審問官に注目してみると新たな発見が出てきます。

ウジェーヌ・シルヴァンの演じたピエール・コーションは仏キリスト教史で最も悪名高く、嫌われている人物でした。保身と昇進しか考えていない、偏見に凝り固まった老害の聖職者。どの時代、社会、組織にもいるであろう嫌な人物をシルヴァンは自然に演じ、狡猾にジャンヌを追いつめていきます。

実際のウジェーヌ・シルヴァンは教養ある人格者として知られていて、晩年は後進を指導する側に回っていました。ファルコネッティが国立高等音楽・舞踊学校で学んでいた時(1915年頃まで)は教鞭をとっており、コメディー・フランセーズに一時在籍した時(1924~25年)にも管理側にいて、彼女にとっていわば師匠筋にあたる人物です。

映画撮影という慣れない環境に置かれたファルコネッティにとって、顔なじみのシルヴァンがいるのは心強かったでしょうし、大先輩の前で迂闊な演技は出来ないという良い緊張感をもたらしていたと思います。

こちらのサイン絵葉書は先日のベルト・ボヴィと同じコレクターさんの旧蔵品。時期も同じで1920~21年のようです。

[IMDB]
nm0798564

[誕生日]
1月17日

[出身]
フランス(ブール=カン=ブレス)

[サイズ]
9.0 × 14.0cm


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