1926 – 9.5mm『曾我兄弟』(『夜討曾我』、木村白山、朝日キネマ) 伴野商店プリント

フィルム館・9.5ミリ (伴野商店) より

Soga Kyôdai (aka Yauchi Soga, dir/Kimura Hakuzan, Asahi Kinema)
Mid 1920s Banno 9.5mm Print

戦前期に活動していたアニメーター木村白山による『曽我兄弟』の伴野9.5ミリ版。『太刀風』『陸の人魚』と同一コレクションからで1926~27年に市販されていたもの。今回入手できたのは第二巻のみで映像は大きく3つのパートに分かれています。

1)五郎・十郎が父の仇、工藤祐経を討ち取った後、頼朝配下の御家人と斬りあいを行う場面(十番切)。富士山を背景にしたロングショット風のカットが冒頭に置かれています。

2)曽我十郎、新田四郎が対峙し、互いに名乗りを上げながら交戦。

3)疲弊し手傷を負った十郎が新田史郎に討ち取られる場面。

1)の途中には背後から襲い掛かってきた敵を片手で投げ飛ばす描写が含まれています。全般的に上下左右斜めの直線運動が目立つ中、『切紙細工 西遊記 孫悟空物語』(大藤信郎)でも触れた回転運動を上手くアクセントにした発想が光ります。

日本アニメーション映画クラシックス(JAFC)には木村白山の紹介ページが置かれているものの『曽我兄弟』についての言及はなし。2018年9月に京都のおもちゃ映画ミュージアムで研究会および上映会「木村白山って、何者?」が開催されており、直近で唯一上映された記録が残されています。

[JMDb]
曽我夜討(曽我兄弟)

[IMDb]