] 映画の郷 [

明治三十七年名古屋で生る。高女中途退學、十七歳で上京し諸所の舞臺に立つ。後小笠原プロダクシヨンに入り大正十三年マキノに移る。最初の映畫は『愛の牢獄』主演は『断雲』同年秋帝キネに轉じ再びマキノに復歸してスターの一人となる。得意は毒婦役、復歸後『ヴアイオレツトお傳』を演じ最近では『旅の者心中』『妖婦』等に主演し新によく舊によし、何れも巧みにやりこなすところがえらい。

「鈴木 澄子（マキノ）」
『玉麗佳集』
（1928年2月、中央書院）

明治三十七年十月二十六日東京市下谷區に生る。高等女學校を中途で退學し舞臺生活に入り各處に出演す。其後明石潮一座花形とも君臨す映畫經歴は小笠原プロダクシヨンが始めてで大正十三年マキノに入社し後帝キネに轉じ、更にマキノに複社し本邦屈指のヴアンプとなりしも昭和三年春河合プロダクシヨン創立と主に招かれ現在である。出演映畫には「愛の牢獄」（初演）「輝く首途」「夕刊賣の娘」（帝キネ）「正劔邪劔」「おりやんこ半次」「道中悲記」「妖婦」「砂繪呪縛」「百万兩秘聞」（マキノ）「ぬかるみ小路」「四谷怪談」「愛怨三世相」「晝夜用心記」（河合）等他十數本がある。趣味は琴と三味線と讀書と踊、を指おる。現住所は東京府下巢鴨町西巢鴨河合プロダクシヨン内。

「鈴木 澄子」
『日本映画俳優名鑑 昭和四年版』
（1928年7月、映畫世界社）

本名鈴木澄子。明治三十七年東京市に生る。女學校を中途退學し、一時舞臺にありしも、大正十二年映畫界に轉じ各社を經て昭和五年春右太プロより帝キネへ。最近の主な作品は『鈴木新内』『戀のからくり』『旋風時代』等。身長五尺一寸、體重十二貫五百。趣味は散歩。

「鈴木 澄子」
『芝居と映画　名流花形大寫眞帖』
（1931年1月、冨士新年號附録）