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サイン館 フランス より

1906年に映画界に参入、アリス・ギーやルイ・フイヤード、レオンス・ペレと共に仏ゴーモン社創始期の主力監督として活躍、その後エクレール社でヴィクトラン・ジャッセ（『ジゴマ』『プロテア』）と並ぶ花形監督となったロメオ・ボゼッティ（1879 – 1948）の自筆メッセージ入り絵葉書。

時代劇や現代社会劇、ホラーから子供向けの喜劇まで広範なジャンルで活躍後に連続犯罪劇に移行していったフイヤード、喜劇短編を主戦場としつつ後に犯罪劇や歴史劇に活動の場を広げていったレオンス・ペレ、犯罪劇で名を挙げつつ怪異や社会劇を手がけていたジャッセと異なり、ボゼッティはデビュー当初から一貫して短編喜劇に特化していました。

クレマン・メジェを配したカリノ君物で人気を博し、その後自身の映画制作会社「コミカ（Comica）」を立ち上げパテ社との繋がりを強めていきます。この時期に発掘してきたのがロザリー役のサラ・デュアメルで、『ロザリーの沈黙は金』28ミリ版を以前に紹介済み。また1911年からエクレール社とも提携、複数の短編連作（ポール・ベルト主演のガヴロッシュ物、サラ・デュアメル主演のペトロニル物、リュシアン・バタイユのカジミール物）を軌道に乗せ、第一次大戦前の仏喜劇映画の中心となっていきました。

また、1914年にはパテ社でエレン・ロウを主人公としたカロリーヌさん連作も手掛けています。ロザリー物などで見られた悪乗りを推し進めた作風。ベルエポック末期特有のグロテスク色が強く喜劇として笑えない部分も多いのですが、ナンセンスと悪趣味の破壊力に中毒性がありボゼッティ喜劇（あるいは仏初期喜劇映画）の一つの到達点として特記に値します。

今回見つけた絵葉書の写真面にはボゼッティ氏本人による直筆で「病院時代のお仲間に。1919年7月31日リヨン」の文字が残されていました。

ボゼッティ氏は第一次大戦時、従軍中の1915年6月に敵による爆撃で頭部を負傷、半年に渡る療養を余儀なくされました。この時に同じ病院（リヨンのボワロー病院）に入院していた別な負傷兵と数年後、リヨンで再会した折にサインを送った形になると思われます。戦後、1919年に戦中期の貢献を認められ戦功章を受勲 [1] 。除隊後は映画界を離れており、後年（1927年）の女優ルネ・カルルのインタビュー [2] によると実業家の活動に軸足を移したとされています。

[IMDb]
Romeo Bosetti

[Movie Walker]
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脚注

[1] 映畫通信紙（Le Courrier Cinématographique）1919年9月6日付17号
[2] 「ルネ・カルル」 モン・シネ誌（Mon Ciné）1927年6月16日付通巻276号

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