1924 – 『映画大観』 (大阪毎日新聞社, 活動写真研究会 編)


1923年冬、大阪毎日新聞社の内部に活動写真研究会が結成され、上映会や研究発表を含む月例会が開かれるようになりました。自社ビルの会議室で開催されていた愛好家の集いではありましたが、協賛会員に池永浩之(日活撮影所長)や牧野省三(監督)、小山内薫(演劇人)、嵐璃徳(俳優)らが名を連ね、例会には男女優が挨拶に訪れる本格的な内容だったようです。

研究活動の延長で翌24年に刊行されたのが『映画大観』。大きく「寫眞」「記事」「名鑑」の3パートに分かれています。

「寫眞」パートは全体(約350頁)の1/3を占めています。国内篇が充実しており、勝見庸太郎や正邦宏、鈴木伝明といった若手有望株、山本嘉一や井上正夫、藤野秀夫らの中堅組、その一世代前の澤村四郎五郎まで登場。女優陣では定番メンバー(川田芳子、五月信子、柳さく子、環歌子、マキノ輝子)を中心としつつ、現在では知られていない珍しい名前(桂照子、堀富貴子、穴橋章子、水田たつ子)も散見されます。

「記事」パートには7つの論考が収められています。活動写真がビジネスとして軌道に乗り始めた1910年頃に渡米し、ヴァイタグラフ社らの盛り上がりをリアルタイムで経験した日々を綴った「活動寫眞の渡來」(荒木和一)、大正元年から10年までに日本で公開された映画作品を緻密にランク付けした「映畫十年」(石上敏雄)など読み応えがある力作でした。

最後の「名鑑」は日本篇・欧州篇・米国篇に分かれています。書き手の好き嫌いが反映されすぎていて辟易する個所もありますが、初期イタリア映画のディーヴァ女優や北欧まで視野に入れており、当時の映画愛好家の好奇心旺盛な様子が生き生きと伝わってきます。

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