エヴェリン・ホワイト嬢旧蔵サイン帖 & サイン館・合衆国/カナダ/オーストラリアより
[…] ユニヴアサル社の四名花の一人として恐ろしい人氣です。昨春のことですが、金春館で封切りされた『力』といふ映畫の時の事を思ひ起しますと、ほんとに夢のやうでなりません。つひ先達日も『情の國歌』で評判でした。うら若い快活な所作が、常に思ひ浮べられます。聞けば『涙の街』といふ映畫は非常に出來榮えの良いとの頃こと。
「青鳥映畫の六明星紹介」 白樂天
『活動画報』 1919年8月号 (正光社)
一九〇一年四月九日桑港市生、舞臺僅少、一九一六年ト社に入り後ミトロ社に轉じ、其後ユ社に入り長らく在社して一九二一年ヴ社に移る。劇『妖婦か處女か』『黄金の夢』『狂へる結婚』(身丈五呎三吋體量一二四封、自宅 5721Carlton Way, Hollywood, Cal.)
「MYERS, Carmel; カーメル・マイヤース孃」
『俳優名鑑 大正11年度』(キネマ同好会、1922年)
カーメル・マイヤース孃は一九〇一年四月九日加州桑港にて生れ、幼年を羅府で過ごし同地にて初等教育と高等教育を受け卒業した。大半の花形映畫俳優と異なり、孃はまず銀幕にてデビューを飾りその後発聲を伴う舞臺劇に現れるやうになつた。紐育の音楽喜劇の聴衆の寵愛を勝ち取り、 オルフェルム・ヴオードヴイル・サーキツトで興行し体当たりの演技を見せた。彼女を花形へと押し上げたのはD・W・グリフイス監督であつた。嬢は向学心に富み多くの時間を読書に割いてゐる。優れた泳ぎ手で、自宅のプールで水泳を楽しんでいる。詩を嗜み、テニスをし、チェスの達人であり、お飾りの役より深い物語性のある役柄を好む。背丈は五尺六寸、體重は十五貫百匁、漆黒の髪に大きな褐色の眸を有する。
『銀幕著名人録』(ジョージ・H・ドーラン社、1925年)
CARMEL MYERS was born in San Francisco, Cal., on April 9th., 1901, and in early youth lived in Los Angeles where she attended the local public and high schools, from which she graduated. Unlike most screen stars, Miss Myers made her professional debut on the screen, and then appeared on the speaking stage. She has won favor with New York musical comedy audiences, and has toured the Orpheum Vaudeville Circuit in a striking act. D. W. Griffith brought this splendid actress to screen fame. She is a deep student, spending much time reading. She excels as a swimmer, often enjoying the water in her private pool. She has written poetry, plays tennis, and is an expert at chess, and prefers dramatic roles to decorative ones. She is 5 feet 7 inches in height, weighs 125 lbs., and has coal black hair and large brown eyes.
Famous film folk; a gallery of life portraits and biographies
(New York; George H. Doran company, 1925)
1920年代のワーナー社(1924年『ボー・ブラムメル』)やMGM(1925年『ベン・ハー』)作品に出演していたことで知られている目鼻立ちのくっきりした黒髪の女優さん。『ボー・ブラムメル』では主人公(ジョン・バリモア)とヒロイン(メアリー・アスター)の関係に割って入る妖婦役で一般的なカーメル・マイヤースのイメージはこの役柄に近いのかな、と。
元々は彼女は1910年代デビュー組でユニヴァーサル社のブルーバード作品の花形として活躍。お転婆な少女役を十八番とし、日本の愛活家からも熱烈な支持を受けていました。以前に紹介した1919年『活動之世界(最終号)』の人気投票では国外女優として12位につけています。
[IMDb]
Carmel Myers
[Movie Walker]
カーメル・マイヤース


