小人症映画小史 & フィルム館・9.5ミリ (仏パテ社) より
小人症パフォーマー・ピュグメオ氏による大道芸を記録した初期の9.5ミリフィルム。
カタログ番号218番。1923年10月、仏パテ社が9.5ミリを市販し始めた際の一番初めのカタログに収められていた一本。比較的早い時期に絶版となっており、1928年のフィルムリストでは番号ごと削除されていました。
緑の多い公園の一角のような空間、左の端に丸テーブルが設置され助手が手伝いをしています。画面中央に燕尾服+シルクハット+ステッキ姿の小柄な男性。「ピュグメオ氏は32歳、身長わずか95センチ」の字幕。シルクハットを取って一礼すると胸ポケットから葉巻を取り出し、マッチで火をつけます。そのままシルクハット、ステッキ、葉巻を使ってジャグリングを披露。宙でクルクルッと回転した葉巻をぱくりと咥えます。
続いて「シルクハット、ステッキ、丸めた手袋。この三つがあれば自分の器用さを証明してしまう」の字幕が流れ、シルクハットとステッキ、丸めた手袋の三つで先程同様のトス系ジャグリングを展開。
最後はシルクハットを使用したコンタクト系のジャグリング。かぶっていた帽子を足元に落とすと右足つま先でキャッチ、そのまま宙に再度浮かせると鼻の頭に立て、倒れないようしばらくバランスを取った後に頭に戻してパフォーマンス終了。
小人症パフォーマーによる技芸を記録した動画は1910~20年代にかけて幾つか残されています。コミカルな要素を強調したり、子供っぽい可愛らしさを前面に押し出すなど傾向は様々でした。『小さな曲芸師』 は正装に身を包んだピュグメオ氏(「ピグミー」の仏語をもじった芸名)が表情を変えずに身近な手持ち品だけで技を披露、クールな空気感を醸し出しています。
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