1924 – 9.5mm 『ニーベルンゲン 第1部 ジークフリート』(フリッツ・ラング監督)1930年代初頭 英パテスコープ版

秘宝館・フリッツ・ラング & フィルム館・9.5ミリ (英パテスコープ) & 映画史の館・ドイツより

Siegfried (“Die Nibelungen: Siegfried”, 1924, UFA/Decla-Bioscop, dir/Fritz Lang) Early 1930s UK Pathescope 9.5mm Print

ラング監督によるニーベルンゲン第1部『ジークフリート』の9.5ミリ版。ノッチ有の4巻構成で映写時間は1時間10分ほど、オリジナルの半分ほどに縮約されています。

戦前9.5ミリフィルム特有の粒子感は見られるものの良いプリントです。

『クリームヒルトの復讐』紹介で触れたように9.5ミリ版はウーファ社の輸出用ネガを元にしたプリントで、国内向けネガを元にした現行のデジタル版の別アングル、別テイクから構成されています。第1リール(鍛冶屋での修行、火龍との闘い、小人族が守るニーベルンゲンの秘宝)をスキャンし、デジタル版および戦後フランス製の8ミリ版と比較してみました。

左から順にデジタル修復版、仏フィルム・オフィス8ミリ版、英パテスコープ9.5ミリ版。

鍛冶屋の場面から出立まで

火龍との戦い

小人族とニーベルンゲンの秘宝

一部トリミングされているため完全一致とはなりませんが、仏8ミリ版はデジタル修復版と同じドイツ国内用ネガをベースにしていると分かります。一方で英9.5ミリ版は別カメラによるショットで構成されているためアングル、構図が変わってきます。また単にカメラが別なだけでなく、使用されているテイクが異なっているケースが多く表情や体の動き、人や物の位置関係も微妙に異なっていました。

1925年2月末、帝劇で『ジークフリート』がプレミア上映された時、映写機にかかっていたのは輸出用フィルムだったはずです。弁士を徳川夢聲氏が務める中、観客の凝視するスクリーンに映し出されていたのは右側、9.5ミリ版と同じイメージでした。

[公開年]
1924年

[IMDB]
Die Nibelungen: Siegfried

[メーカー]
英パテスコープ社

[メーカー記号]
SB729

[9.5ミリ版発売年]
1931年8月

[フォーマット]
9.5mm 100m×4巻 白黒無声 ノッチ有


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