フリッツ・ラング関連 [Fritz Lang Related Items] より
ラング監督によるニーベルンゲン第1部『ジークフリート』の9.5ミリ版。ノッチ有の4巻構成で映写時間は1時間10分ほど、オリジナルの半分ほどに縮約されています。








戦前9.5ミリフィルム特有の粒子感は見られるものの良いプリントです。
『クリームヒルトの復讐』紹介で触れたように9.5ミリ版はウーファ社の輸出用ネガを元にしたプリントで、国内向けネガを元にした現行のデジタル版の別アングル、別テイクから構成されています。第1リール(鍛冶屋での修行、火龍との闘い、小人族が守るニーベルンゲンの秘宝)をスキャンし、デジタル版および戦後フランス製の8ミリ版と比較してみました。
左から順にデジタル修復版、仏フィルム・オフィス8ミリ版、英パテスコープ9.5ミリ版。









鍛冶屋の場面から出立まで






火龍との戦い






小人族とニーベルンゲンの秘宝
一部トリミングされているため完全一致とはなりませんが、仏8ミリ版はデジタル修復版と同じドイツ国内用ネガをベースにしていると分かります。一方で英9.5ミリ版は別カメラによるショットで構成されているためアングル、構図が変わってきます。また単にカメラが別なだけでなく、使用されているテイクが異なっているケースが多く表情や体の動き、人や物の位置関係も微妙に異なっていました。
1925年2月末、帝劇で『ジークフリート』がプレミア上映された時、映写機にかかっていたのは輸出用フィルムだったはずです。弁士を徳川夢聲氏が務める中、観客の凝視するスクリーンに映し出されていたのは右側、9.5ミリ版と同じイメージでした。
[公開年]
1924年
[IMDB]
Die Nibelungen: Siegfried
[メーカー]
英パテスコープ社
[メーカー記号]
SB729
[9.5ミリ版発売年]
1931年8月
[フォーマット]
9.5mm 100m×4巻 白黒無声 ノッチ有