情報館・雑誌(和書) より
1921年1月に創刊された『活動花形』誌の通巻第5号に当たる5月号で、「家庭の女優號」と題された一冊。以前に紹介した「海の美人號」の2冊前に当たります。表紙はミルドレッド・ハリス。
巻頭カラーグラビアを飾るのはアラ・ナジモヴァ(『孔雀夫人』)で、単色グラビアにエディス・ロバーツ、カーメル・マイヤース、トム・ムーア、モンロー・サルツベリー等が登場。「アラビアン・ナイト」として紹介されているのは今回当時物のプログラムを紹介している仏映画『戀のサルタン』です。




家庭の女優號とあるものの、それらしきはメアリー・ピックフォードの私生活を追った記事ひとつのみ。三谷芳明氏が活動写真史の連載を開始し、前々号から始まった俳優人気投票の途中経過が報告されています。




アスタ・ニールセン主演の『女ハムレット』が見開きで紹介されている他、読み物としてグリフィス監督の『人生の春(The Greatest Thing in Life)』、レジナルド・パーカー監督による西部劇『刻印(The Brand)』、エドワード・スローマン監督による西部劇『男兒の度量(The Sagebrusher)』が掲載されていました。
この号で一番興味深かったのは巻末近くに出されていた社告です。『活動倶楽部』で活動していた三谷芳明(=齋藤芳太郎)氏が年頭に同誌と縁を切り、それに併せて同誌同人であった桐野葉二・濱田幸雄両氏が籍を『活動花形』に移した旨が明記されています。また『活動倶楽部』元編集長の鈴木笛人氏も『花形』に協力するとのこと。
これは1920年の終わり頃に『活動倶楽部』内で編集方針を巡る対立、内部抗争が起きた余波と思われます。『活動倶楽部』大正10年11月号紹介で触れたように同誌は1921年に編集方針が大きく変わり 「愛でる愛好家」から「物言う愛好家」へ比重を移していきます。社主の森富太氏と新編集長の若樹華影氏を中心とした動きであり、それを良しとしなかった一党がごっそり抜けて『活動花形』に移っているのです。さらにこの2か月後『活動花形』の社主が三谷芳明(=齋藤芳太郎)氏に代わり、『活動之世界』の名を譲り受け発展解消していくことになります。
[出版者]
活動花形社
[発行]
大正10年(1921年)5月1日
[定価]
五十銭
[フォーマット]
菊判 22.0×14.5cm、102頁








