情報館・雑誌(和書) より
正光社による後期『活動画報』誌の1920年6月号。表紙はジークフェルド・フォリーズの踊り子として人気の高かったケイ・ローレル。
巻頭の彩色グラビアにビリー・バーク、単色グラビアにメアリー・マイルズ・ミンター、メアリー・サーマン、ビーブ・ダニエルズ、シャーリー・メイソン、ノーマ・タルマッジと馴染み深い面々が並びます。



この時期に連続活劇主演で注目を集めていたマリー・ウェルカンプ、「ユニヴァーサル社の四名花」の一人として知られるルイーズ・ラヴリーの特集記事が組まれている他、小山内薫による寄稿「文明の程度を量る標準」が収められていました。
「文明の程度を量る標準」は渡欧中の小山内氏がモスクワやストックホルム、ベルリン、ロンドンで映画を見た折の雑感をまとめた記事です。深い考察を張り巡らせている訳ではないものの、各々の国で異なっている活動写真事情を仔細に観察し、日本との違いに思いを馳せている思索の流れが丁寧に描き出されていました。




封切作品の批評として『灰(セネーレ)』と並ぶフェボ・マリ監督の主要作『アッチラ』、歸山教正氏の『熱球』が扱われており、セダ・バラ主演の遺失作品『惡魔(ラ・ジョコンダ)』と新派悲劇『三味のもつれ』が物語仕立てで紹介されています。


先日ベルギー版のDVDを紹介したナジモヴァ主演作『紅き灯(紅燈)』が新作欄で取り上げられていました。雑誌の途中に折込のチラシが挟んであって、そちらも長野劇場で公開予定の同作のものでした。
[出版者]
正光社
[発行]
大正9年(1920年)6月1日
[定価]
七十銭
[フォーマット]
四六倍判 25.4×18.8cm、102頁





