東亞キネマ サイン帖より
明治三十三年一月十七日生る。日本美術を中途で止めて銀座やまと新聞社にて働き、伊庭孝氏の新星歌舞の創立に加つて舞臺に立ち、其後少女歌劇の舞臺監督をなし、大正十四年甲陽撮影所に走つて兒童映畫の監督となり、間もなく現代劇に移り目下は等持院に於て時代劇部の製作に從事し現在主なるものに現代劇「さすらひの雨」「世紀病患者」(検閲不許可)兒童映畫は「星の花咲く」「正ちゃん萬歳」時代劇「情艶櫻時雨」「惡靈」等。趣味は古本を漁ること、木版画を刻ること、詩を書くこと。現住所は京都市外花園村宮の上十五である。
『日本映畫俳優名鑑』(1928年7月、映畫世界社)
米澤正夫氏と並び、東亜キネマ所属の監督さんでサインが残されていたのがこの竹内俊一氏。
東亜の初期から神戸で現代劇を担当、甲陽スタジオが閉鎖されると京都スタジオに映り、当時の人気子役だった小川國松を主役に配した『夜鴉』(1928年)で話題を呼びます。その後は時代劇担当に転じ、雲井竜之助主演の作品を多く撮るようになっていきました。
ちなみに人の顔を模した(「俊」が目鼻になっています)愛嬌のあるサインで、美術系を経てきたキャリアがキラリと光っています
[JMDb]
竹内俊一
[IMDb]
Shun’ichi Takeuchi